指向性とは音が横に広がらないで目的の方向にすべての音エネルギが1本のビームとなって直進する度合である。
超音波はトランスジューサから一定の広がりを持ってビーム状に発射される。そのビームの波形を、超音波トランスジューサの指向性という。
市販されている超音波トランスジューサの指向性は、それ程鋭くなく半値角として±20°〜30°程度の広がりを持つ。 超音波センサの指向性が広いと、センサによって計測された対称物の形はかなりぼけたものになる。(fig.5参照)
すなわち、超音波センサは距離方向の分解能の精度は高いが、横方向の分解能の精度はそれ程高くないのである。そのためこの指向性を改善する方法として、トランスジューサにホーンアンテナを取り付けるという手段がある。
アンテナには一般に指向性を鋭くすると同時に、中心方向の利得を稼ぐという利点がある。但しホーンアンテナの設計を理論的に行うことは難しいので、ある程度の試行検討によりホーンの形を決める必要がある。
fig.6に円錐形のホーンアンテナの一例を示す。
fig.5 |
fig.6 |
超音波のような波が対象物に当たった場合、対象物表面に凹凸があればそこで 散乱しあらゆる方向から反射散乱波が観測される。しかし、もし対照物に凹凸が なければ散乱しないで入射角=反射角で反射するだけとなり、反射散乱波は検出されない。
波にとって対象物が凹凸であるかどうかは、その表面の粗さと波長の関係で決まる。
競技場の壁は数十kHzの超音波にとってほとんど平らになるので超音波センサでは斜めから壁を見た場合、通常その壁は検出できない。故に壁と垂直に近い場合のみ反射波が検出できることになる。
また、この指向性をεとすると次のようになる。
ε = c/λ(この値が大きいほど指向性が良いことになる)・・・ (2.1)
λ = c/f ・・・(2.2)
λ : 波長 (長さの単位で10−6m)
c : 音の速さ(m/s)
f : 周波数(Hz)
D : 音源の直径(mm)
従って2.1式より指向性を高めるには周波数の高いものが良いことになる。精度を必要とする通信用(測定)は指向性を高めるため高周波超音波の周波数を1ー10MHz(メガ 106)のものを使用する。
特殊なものは30ー50MHz級のものも使用する場合がある。
この利点は指向性の良い送信器をそのまま受信器に使用する、横から伝播して周波雑音をすべて除外できる。