’94MIRS V−Project
特性調査書
(勝敗判定装置)


初版製作者:宇佐美清章

改訂記録
項 番版 数年月日 作 成 者  改 訂 内 容 
11版95.3.7宇佐美
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目次
 はじめに
 調査について
 1 評価項目
 2 各評価の方法、結果
   2.1 周波数特性
   2.2 発光強度、Duty比と距離の関係
   2.3 反射特性
 3 まとめ


はじめに
 この評価は、勝敗判定装置に使用されている赤外線発光装置が、MIRSの競技に使用できるかを考えるためのものである。


評価について 1 評価項目

 なお、赤外線LEDの発光回路は、図1にしたがって行なった。

図1 赤外線LED発光回路構成図
2KB

   
2 各評価の方法、結果

 2.1  周波数特性

 今回受光器として使用する素子(IS1U60)は、38kHzに変調された赤外線を受光するようになっている。しかし、実際に38kHzちょうどをつくることは難しい。そこで、この受光器が実際にどの周波数の範囲で変調された赤外線を受光できるのかについて評価した。

  2.1.1  評価方法

 赤外線発光LEDと受光器との距離を50cmの位置に設置する。入力信号の変調の周波数を変化させ、その時の受光素子からの出力信号をオシロスコープを用いて調べた。

  2.1.2  評価結果

 評価結果を表1に示す。この表からわかるように、30.5kHz〜48kHzでは安定した出力が得られた。発信器として、μPD5555を使用する。このICは抵抗とコンデンサの値によって発信周波数を決定する。抵抗、コンデンサには誤差があるが、これだけの周波数の幅があればその誤差を考慮しても十分である。そのため、部品表で指定されている素子をそのまま使ってよいといえる。

表1 周波数特性
周波数[kHz]出力状態
0〜30.5不安定な出力(LowとHighの入り乱れ)
30.5〜48安定した出力
48〜68不安定な出力(LowとHighの入り乱れ)
68〜受光不能

 ここで、ICによる発振周波数の誤差を規格表に基づいて計算する。
 ICμPD5555の発振周波数fの計算式は、抵抗値R1、R2およびコンデンサの値をCとすると、
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である。Duty比を10%とすると、
    R1=8R2
である。今、抵抗の誤差を5%、コンデンサの誤差を10%とする。抵抗R2の誤差の分をr、コンデンサの誤差をcとする。これらの誤差の分によって変化した周波数をf’とすると、
1KB
となる。これを計算すると、実際の周波数の範囲は、 33kHz〜44kHzである。


 2.2  発光強度、Duty比と距離の関係

 実際にMIRSの競技を行う上でもっとも重要な性能の1つである赤外線の届く距離についてしっかり知っておく必要がある。この評価では、赤外線の発光 強度と赤外線の届く距離の関係について詳しく評価した。

  2.2.1  評価方法

 図1に示されている回路によって赤外線LEDを発光した。この時、入力信号のDuty比および抵抗Rの値を変化させ、受光器との距離と出力信号との関係をオシロスコープを用いて調べた。

  2.2.2  評価結果

 評価の結果を表2に示す。

表2 発光強度、Duty比と距離の関係
Duty比[%] 抵抗値 (R[Ω]) High最高距距離 [cm] Low最低距離 [cm]
50 51 370 930
10 51 230 470
50 200 210 620
10 200 135 325
50 820 95 280
10 820 50 150
10 1,700 30 73
10 3,436 20 60


 2.3  反射特性

 現在、MIRSの競技場には超音波センサを用いるため、周囲に壁がある。しかし、この壁によって赤外線が反射を起こすことが考えられる。もし、この壁により赤外線の反射が起こるのなら、最悪の場合、MIRSが競技場のどの位置にいても赤外線を受光してしまう恐れがある。そのため、赤外線の反射特性について詳しく知る必要がある。ここでは、その評価を行う。

  2.3.1  評価方法

 図2にしたがって装置を配置する。L1、L2は変化させる。なお、赤外線LEDは図1にしたがって発光させ、抵抗値RとDuty比はそれぞれ51Ω、10%とした。
図2 反射特性評価装置配置図
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      2.3.2  評価結果

 評価結果を表3、表4に示す。表3はL1=30[cm]、L2=30[cm]の時 の反射の有無を表し、表4は反射の距離と出力の関係を表す。黒い布は非常によい効果を得たが、これは超音波を吸収する恐れがある為、使用出来ない。そのため、壁による赤外線の反射は押さえられなさそうにない。反射がある場合、あまり強い赤外線を発光させると最悪の場合競技場のどこでも赤外線を受光してしまう事となる可能性がある。よって、赤外線はあまり強く発光させられない。


表3 反射特性1
材質 結果
壁(アクリル板) 反射した
つや消し黒で塗った紙 反射した
黒画用紙 反射した
木材(ベニア板) 反射した
黒い布(カーテン) 反射しなかった


表4 反射特性2

材質

L1[cm]

L2[cm]
High最高距離 Low最低距離
競技場の壁 30 10 59
黒画用紙 30 32 79
木材 30 51 119
黒カーテン 30 測定不能 測定不能
20 7 16



3  まとめ

 以上の評価を考慮の上、勝敗判定装置は次のような仕様がよいと考えられる。


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