一般的に言う直流モーターであり、直流電源で回すことができる。DCモーターは制御用モーターとして非常に優れた回転特性を有している。例えば、大きな起動トルク、電圧変化に対するリニアな回転特性、入力電流に対する出力トルクの直線性、出力効率の良さ・・・などとおよそ制御用モーターに要求されるすべての性能を兼ね備えたモーターといえる。
※トルクとは、モーターの回転力のことであり、これが大きいほどその出力パワーも大きくなる。ここでトルクとは日本語に訳すと回転力ということになるが、このトルクは直線運動における推進力に相当する。また、トルクの単位は[kgf・m]で表されるが、これをSI単位系になおすと[N・m]になる。
電源電圧がモーターに供給されている時の関係式は、
Ea=Ra×Ia+Ec
Eaが供給された直後はモーターが回転していないので、Ecは0である。従って
モーター起動時の式は、
Ea=Ra×Ia
Ia=Ea÷Ra
である。Iaは、このモーターの起動時の電流であり、これがこのモーターの最大電流である。(この時モーターは最大トルクを生じる。最大トルクを生じるのはこの時と過負荷で動けない時であり、過負荷が最大トルクを上回っていて起動できない時、 W=Ia2×Ra のジュール熱を生じ、その熱によりモーターを損傷する恐れがある。
従って、負荷は最大トルクの30〜50%位にする。)
モータートルクTは一般に、モーター自身のトルク定数をKtとすると、流れる電流Iaに比例する。
T=Kt×Ia
これより、モーターに流れる電流は、
Ia=T÷Kt
となる。又、モーターの回転数Nは、逆起電圧Ecとほぼ比例する。
Ec(N)=Ea−Ra×Ia より、
N=Ec(N)/(Ec÷N')
[Ec(N):モーター仕様の逆起電圧C[V](N'[rpm])]
という関係がある。
・ モーターの電気的時定数τeを小さくする。
τeL/Ra (L:等価インダクタンス、Ra:巻線抵抗)
これより、等価インダクタンスであればよい事が分かる。
モーターのT-N,T-I曲線 |
・ 機械的時定数τmを小さくする。
τm=(Jm・)/(Ke・Kt)
(Jm:ロータイナーシャ、Ke:ぎゃく起電力定数
Ra:電機子巻線抵抗、Kt:トルク定数)
従って、Jm、Raは小さく、Ke、Ktを大きくすればよい。
・ N−Tカーブのリニアリティをよくする。理想的には、IとNは比例、TとNは逆の比例関係になるが、実際は、Nの上限で特性が曲がったり下限でリプルを生じる。従って、多スロット型、スロットレス型のモーターを選ぶ必要がある。
PWM(Pulse Width Modulation)回路とは、周期は一定で、入力信号(DCレベル)の 大きさに応じて、パルス幅のデュ−ティ・サイクル(パルス幅のHとLの比)を変え、モーターを制御する回路でを制御する回路でにたいして、これは飽和(スイッチング)領域での制御となる。
従って、パワー・トランジスタを飽和領域で使用する為、電力ロスが軽減され、トランジスタもそれ程発熱しない。更に必要な時間だけ通電しますので、モータ・ドライブ回路全体の効率があがり、電圧の負担も軽くなる。
パルス制御法はモータのオンオフ制御をパルスによって行う方法である。これによりオフタイムでの電池の消耗が全くなくなる。またオンタイムでも制御トランジスタが完全に飽和しているので、ここでの電力ロスも最小限に抑えられ、トランジスタの電力ロスが著しく軽減される。
しかし、パルス駆動によるモータの振動音、ブラシ、コシュテータの著しい磨耗、それに電気ノイズの発生等のいろいろな問題を抱えている。下の図はパルス制御法の原理図である。
なお前ページの回路では、モータへのピーク電圧が電源電圧とほぼ同じになるが、この場合、オフタイムがあるのでその平均電力は低くなる。
パルス制御法の原理図 |
次にPWM制御回路図を示す。
PMW制御回路図 |
下の図は、3つのパルス幅について説明している。
一番上がデューティ大で、エネルギーが最も大きく、回転数もこれに応じて高くなる。
なお、この時オフタイムが最も短い。
パルス幅について |
A図はPWM制御の波形を示したものである。図(a)は信号Aが急激に変化した場合の、電力変化のあるパルス列となる。これより、モーターに供給されるエネルギ変化の様子が分かる。
タイマICによるPWMパルス |
1kHzの基本周期は外部発信機で発生させ、その立ち上がりでタイマをイニシャライズする。
デゥーティー比はプリセッサよりデータとして与える。タイマはワンショット・パルス発生モードとしてイニシャライズさせるたびにデータの値*タイマ・クロック時間だけ出力を"1"とする。
モーター型番 | RE025-055-34EBA200A |
トルク定数 | 16.30[mNm/A] |
端子間抵抗 | 1.34[ ohm ] |
無負荷電流 | 53.90[ mA ] |
端子間電圧 | 7.2[ V ] |
ギア型番 | GP026A037-0016B1A00A |
ギア減速比 | 16.00:1 |
ギア効率 | 76[ % ] |
周囲温度 | 25.0[ ℃ ] |
出力トルク | 回転数 | 電流 | 入力 | 出力 | 効率 |
[Nm] | [rpm] | [mA] | [W] | [W] | [%] |
0.00 | 261 | 53.90 | 0.39 | 0.00 | 0.0 |
0.10 | 236 | 558.42 | 4.02 | 2.47 | 61.5 |
0.20 | 212 | 1062.94 | 7.65 | 4.43 | 5709 |
0.30 | 187 | 1567.46 | 11.29 | 5087 | 52.0 |
0.40 | 162 | 2071.98 | 14.92 | 6.78 | 45.5 |
0.50 | 137 | 2576.50 | 18.55 | 7.18 | 38.7 |
0.60 | 113 | 3081.02 | 22.18 | 7.07 | 31.9 |
0.80 | 63 | 4090.06 | 29.45 | 5.27 | 17.9 |
0.90 | 38 | 4594.59 | 33.08 | 3.60 | 10.9 |
1.00 | 13 | 5099.13 | 36.71 | 1.41 | 3.8 |
1.05 | -0 | 5373.13 | 38.69 | -0.00 | -0.0 |
最大連続電流時 | 最大出力時 | 最大効率時 | |
トルク | 0.34[Nm] | 0.53[Nm] | 0.10[Nm] |
回転数 | 177[rpm] | 131[rpm] | 237[rpm] |
電流 | 1771[mA] | 2714[mA] | 538[mA] |
出力 | 6.30[W] | 7.20[W] | 2.38[W] |
効率 | 49.4[%] | 36.9[%] | 61.5[%] |