I/Osubボード
(1)概要
 I/Osubボードは、超音波センサ回路、PWM回路、赤外線センサ回路の3つの回 
路を搭載した回路である。
(2)機能と回路構成
  [1]超音波センサ回路
  最初に機能について述べる。超音波センサ回路の機能は、大きく分けて二つある。一つは、
トリガが送られてくると送信指令を0.4[ms]の間、送信回路に出力する機能で、もう一つは、
受信信号を受けたとき、割込み要求信号をMPUに送る機能である。また、送信機から受信機へ
直接回りこむ音波を無視する機能も合わせ持つ。
 距離計測は、PITに内蔵されているタイマを利用している。このタイマは、
トリガを受け取った時点でカウントを開始し、受信を感知すると停止する。このカ
ウンタ値を読み込むことにより障害物までの距離を知ることができる。 
タイマのクロック周波数は8×106/32[Hz]であるので、障害物までの距離Lは

 L=Count×(8×106/32)−1×v×(1/2)
                        * L:距離 v:音速
        Count:カウント値
で与えられる。
 次に回路構成について述べる。 図1に回路構成図を示す。この回路は、構成図にも示されているような、
発振回路、ワンショット回路、比較回路の他にも、タイマ制御部、基準電圧発生部など様々な回路によって
構成されている。以下にこれらの説明を加える。




                        図.1 超音波センサ回路構成


 @発振回路 
 この回路はコンデンサの放電を利用し、ゲートと組み合わせて構成した簡単な発振回路である。


 
         図.2 発信回路
 Aワンショット回路 
 図.3にPLDにプログラムされたワンショット回路構成図を示す。また、タイミングチャートを
図.12に示す。ワンショット回路は、64進カウンタと制御回路で、構成されており、PLDを2つ使っている。
 この回路から、トリガ一回毎に、ガードパルス、タイミングパルス、送信用ワンショットを一回づつ出力する。
送信用ワンショットとCLKとのANDをとって幅0.4[ms]、周波数約   
40[kHz]のパルスを送受信回路に出力する。ガードパルス、タイミングパルスは、比較回路の項で述べる事にする。



                                            図3 ワンショット回路
 Bタイマ制御部
 PIT内部のタイマを動かしたり、止めたりする部分である。タイマのカウントはトリガが送られて来てから、
受信、又はタイマのオーバーフローが起こるまでの間行われる。この制御はRS−FFで行い、タイマのスタート信号のON/OFF制御をする。



                                            図.4 タイマの動作

 C比較回路
 比較回路では主にノイズの除去と回り込み波による影響の無視を行う。
ノイズの除去は受信回路から送られて来た受信波と、基準電圧をコンパレータで比較し、
基準電圧より低い電圧の信号を除去する。また、回りこみ波の除去については送信してから、
一定時間基準電圧のレベルを上げる事で対処する。この時間は タイミングパルスによって決められる。 

 図.5 超音波の回りこみ

この受信無視時間の長さはワンショット回路から出力されるガードパルスで決定される。
 D基準電圧発生部
 コンパレータを使ってノイズと回りこみ波の除去を行っている。このため比較する際に基準電圧が必要になる。
この基準電圧を発生するのが基準電圧発生部である。
これは、コンデンサの放電を利用して、タイミングパルスから基準電圧を作り出している。

 
 Eマルチプレクサ(MX)
 搭載されている3対のセンサの内、一度に距離計測が出来るのは1対だけである。
計測を行うときには3対の内1対を選ばなければならない。
 マルチプレクサは、コネクタを通じて3つの送受信回路と直結しており、
PITから送られてくるセンサ選択信号により、使用する1対のセンサを選択する。

 APWM回路
 この回路は、モータを制御する信号であるPWM信号を作り出し、方向データと共に出力する回路である。
速度データとカウンタのカウント値との比較によりPWM信号を形成している。この信号のDuty比は、
速度データで128段階に変化させている。図.6にPWM回路の構成図を示す。
右速度・方向データは68230のportAから、左速度・方向データはportBから送られてくる。
カウンタのCLKは、68230のToutから得る。PWM信号発生回路は、カウンタより得られたた8bitのカウント値と   
7bitの速度データとの比較によりPWM信号を形成している。   



                               図.6 PWM回路構成図

 PWM信号波形形成原理図を図7に示す。



速度データをnとするとPWM信号のパルス幅TとDuty比Dは次式で計算出来る。

	T[μs]=(n+1)×5[μs]
	D[%]=(n+1)/256×1000≦n≦127

[3]赤外線センサ回路
 赤外線センサ回路は、赤外線センサ信号処理回路と外部回路である赤外線周辺回路から成る。
赤外線センサ回路の構成図。この回路は、赤外線周辺回路から送られてくるHigh level 
もしくは Low levelの信号を処理し、信号に状態変化がおきた時に、割り込み要求信号をMPUに送る
機能を有する。またそのときの各受光素子の状態は後述のレジスタを読むことにより得る。
 I/OSUBボードに搭載されているこの信号処理部は主に周辺回路からの赤外線信号の同期を
とる信号同期部と68230に割込み要求をする 



図.9 赤外線センサ回路の構成図

割込み信号発生部からなる。信号同期部は74LS574が3個割込み発生部は74LS688,
74LS00各1個ずつで構成する。
                                     
(3)ボード仕様                      
 図.11にI/Osubボード基板外形図を示す。               




         図.11 I/Osubボード基板外形図

(4)インターフェイス仕様
 コネクタ端子番号および入出力信号表を表.1〜4に示す。
 
(5)製作上の注意事項
 はじめに本回路は、vpro94の次のファイル内の回路図を元に作られる。
OrCADファイル(uss.1、pwm2.1、infrare1.1内のuss.SCH、pwm2.SCH,infrare1.SCH)
並びにパターンCADファイル(NEOSUB.DBH)。

[1]基板を焼く
 I/OSUBボードの大きさは、160[mm]×100[mm]であるが丁度良い大きさのプリント基板が無いので、
適当な大きさの基板に切って焼くようにすること。VMEラックにピッタリのサイズなので、
ラックに差し込みながら慎重に大きさを整えること。
本ボードは両面基板のため、基板を焼く際にシートを部品面と半田面をしっかり重ねあわせること。

[2]ボードを作る
50ピンや96ピン等のピン数の多いコネクタは、ドリルで穴を開ける時に充分注意を払って行うこと。
なるべくポンチで穴の中央に窪みをつけて穴あけをし易いようにすると確実である。
部品をのせる前に、基板にドーブライトやフラックス(Sunhayato)等を施すこと。
ICやコネクタの向きは、パターンCADファイルから得られる実装図を参照して行うこと。

[3]スルーホールについて
基本的に部品面にワイヤが通っているところのランドは、スルーホールになる。但し抵抗やコンデンサ等は
、針金が通っているため両面で半田付けすれば導通するのでスルーホールをつくる必要はない。
ICを直付けした場合も同様。50ピンコネクタに一つスルーホールがあるが、ここは特に注意すること。
スルーホールは衝撃に弱かったり 作成中に銅箔がはがれてしまったりすることがあるので丁寧に確実にスルーホールを作ること。
スルーホールなどICの足の場所以外にもランドがある。このランドは、部品面と半田面を導通させるため
のものなので、作る時は、針金などで両面を導通させること。

[4]各回路毎の注意点
 @超音波センサ回路
 @ー1 PLDについて
 この回路には、二つのPLDが搭載されている。それぞれの書き込みデータについては、
¥partsディレクトリのsspld_1ディレクトリのuss3.pds,uss3.jed,uss3.doc及び、sspld_2ディレクトリのuss4.pds,uss4.jed,
uss4.docにあるので、参照すること。なお、uss3.***はIC12、uss4.***はIC14の書き込みデータである。
 @ー2 スルーホールについて
 スルーホールの処理を施すICの足の部分は数が多いので注意すること。
 APWM回路
 スルーホールを確実に作ること。基板をエッチングした際に導線に傷がついたりして線がつな
がっていないこともあるので導通試験をきちんと行なうこと。
 B赤外線センサ回路
 ICの足の部分にはスルーホールを作っていないので作りやすいはずである。

[5]インターフェイスについて
 以下にインターフェイスについての注意事項をそれぞれの回路別に列挙する。
 @超音波センサ回路
・CN1のコネクタは、VMEbus面に、CN2とCN3のコネクタは、パネル面に向けて設置する事。
・CN1は、ラックに差し込み、CN2、はI/Oボードと接続する事。
・CN3のピンアサインは、1,5,9,13ピンがセンサ0〜3のVcc(1ピン)となり、4,8,12,16ピンが
GND(4ピン)、2,6,10,14ピンが送信信号(2ピン)、3,7,11,15ピンが受信信号(3ピン)になっている。
これに従って、コネクタのコードを裂くか、コネクタ変換ボードを作製してセンサと接続する事。
・センサを取付けないチャンネルは必ず受信信号のピンをGNDに落とす事。
 APWM回路
・CN5は、可逆パワーボードにつながる。ピンアサインは、基本設計書参照。
MOLEXの1ピンの位置に注意すること。
 B赤外線センサ回路
・CN4のピンアサインは基本設計仕様書参照。なおIO/SUBボードと赤外線周辺回路の
インタフェイスボードは作成していないので直接コードを裂いてつなげること。