4. 赤外センサの調査・研究


4.1 主旨

本書は、本システム主要構成部品のひとつである赤外線センサについてその基本性能を調査、理解し、後のシステム動作方式、統括制御方式の研究に役立てるためのものである。


4.2 赤外線とは

可視光線の長波長側の限界(〜0.75mm)から約1mmまでの波長の電磁波は赤外線と呼ばれる。また、赤外線は熱線ともいわれる。それは、赤外線は強い熱効果、すなわち物質に吸収されてその物質を発熱される効果があるためである。


4.3 赤外線の特徴

  1. 肉眼で直接観測できない。
  2. 波長が可視光線や紫外線に比べて長いので微粒子によって散乱される度合が少なく空気中を比較的よく透過する。
  3. 周波数が物質を構成している分子の固有振動数とだいたい同程度の範囲にあるため物質に当たると電磁的な共振がおこり、そのエネルギーが無駄なく物質に吸収される。


4.4 赤外線センサの種類

4.4.1 光電子型、量子型

フォトンを吸収しキャリアを励起することによって直接赤外線を検出するセンサである。このセンサは後に述べる熱型センサより100〜1000倍の検出能力を持つが、動作温度が低いため通常は液体窒素などで冷却の必要がある。

4.4.2 熱型

赤外線を熱に変換し、その熱を電気量に変換するセンサである。熱型赤外線センサは安価だが一般に周波数応答が低い。この熱型赤外線センサの一種で、焦電型センサというものがあり、これは他の熱型センサに比べ感度が高く、また構造が簡単であるためよく使われている。これは、焦電効果によって発っせられた電荷によって創られる電圧をFETで増幅し出力するセンサである。

※焦電効果とは
焦電効果は強誘電体における自発分極の温度特性を利用している。温度上昇によって焦電体セラミックスの分極の大きさが変化するとその変化分が電荷として放出されることになる。



これから実際に使われるセンサの詳細を示す。

4.5 赤外線センサと送信機(詳細)

4.5.1 送信機

表4.1 最大定格(Ta=25)
項   目記号定格単位
直流順電流IF100mA
直流順電流低減率(Ta>25℃)ΔIF/℃-1.33mA/℃
パルス順電流IFP(注)1A
直流逆電圧VR5V
許容損失PD150mW
動作温度Topr-20〜75
保存温度Tstg-30〜100
(注)パルス幅≦100μs,繰り返し周波数=100Hz


Fig 4.1 外形(16KB)
Fig 4.1 外形


表4.2 電気的特性(Ta=25℃)
項目記号測定条件最小標準最大単位
順電圧VFIF=100mA---1.351.5V
逆電圧IRVR=5V------10μA
放射強度IEIF=50mA1220---mW/sr
光出力POIF=50mA---11---mW
端子間容量CTVR=0,f=1MHz---20---pF
ピーク発光波長λPIF=50mA---950---nm
スペクトル半値幅ΔλIF=50mA---50---nm
半値角θ1/2IF=50mA---±23.5---°


Fig 4.2 波長特性[標準値](13KB)
Fig 4.2 波長特性[標準値] (IF=50mA,Ta=25℃)


Fig 4.3 指向特性[標準値](18KB)
Fig 4.3 指向特性[標準値] (Ta=25℃)


4.5.2 センサ

定格及び特性
Fig 4.4 構成図(20KB)
Fig 4.4 構成図


表4.3 絶対最大定格
項目記号定格値単位
電源電圧Vcc0〜6.0V
動作温度Topr-10〜+60 ※1
保存温度Tstg-20〜+70
保存温度Tsol260 ※2
※1 )結露なきこと。  ※2 )樹脂端面より下部の位置で5秒間


表4.4 推奨動作条件
項目記号動作条件単位
電源電圧Vcc4.7〜5.3V


表4.5 電気的特性 (特に指定の無い限りTa=25℃,Vcc=5V)
項目記号MINTYPMAX単位備考
消費電流Icc---2.84.5mA入力光なし、出力端子OPEN
ハイレベル出力電圧VOHVcc-0.2------V※2,出力端子OPEN
ローレベル出力電圧VOL---0.450.6V※2,プルアップ抵抗kΩ
ハイレベルパルス幅T1400---800μS※2
ローレベルパルス幅T2400---800μS※2
B.P.F.中心周波数f0---38---kHz
※2) 下図に示すバースト波を、Fig4.6に示す送信機にて送信するものとする。


Fig 4.5 バースト波(10KB)
Fig 4.5 バースト波


性能
Fig4.6に示す送信機を用いて、Fig4.7の光学系においてリモコンセンサの出力信号が下記の各項目を満足すること。

直線受信距離特性
Fig4.7において、L=0.2〜5m、Ee<10lx(※3)、φ=0°のとき、出力信号が表4.5の電気的特性を満足すること。

指向角受信距離特性
図2において、L=0.2〜3m、Ee<10lx、X方向φ≦30°、Y方向θ=0°のとき表4.5の電気的特性を満足すること。
又、L=0.2〜3m、Ee<10lx、X方向φ=0°、Y方向θ≦15°のとき表4.5の電気的特性を満足すること。
  ※3) 受光面照度を示す。


Fig 4.6 送信機(23KB)
Fig 4.6 送信機


Fig 4.7 光学系(22KB)
Fig 4.7 光学系


指向角特性

Fig 4.8 X方向特性(23KB)
Fig 4.8 X方向特性


Fig 4.9 Y方向特性(19KB)
Fig 4.9 Y方向特性


Fig 4.10a 赤外線センサ外形図(23KB)
Fig 4.10b 赤外線センサ外形図(10KB)
Fig 4.10 赤外線センサ外形図


4.6 赤外線センサ信号処理回路

Fig 4.11 回路構成(16KB)
Fig 4.11 回路構成


  1. 同期回路
  2. 割り込み信号発生回路

割り込み信号部について
ここの部分は、恐らく、赤外線センサー受光部からの信号に変化が生じたときに割り込み信号を出すようになると思う。信号自体は、一発パルスではなく他の波形になると思われる。