本書は、本システム主要構成部品のひとつである赤外線センサについてその基本性能を調査、理解し、後のシステム動作方式、統括制御方式の研究に役立てるためのものである。
可視光線の長波長側の限界(〜0.75mm)から約1mmまでの波長の電磁波は赤外線と呼ばれる。また、赤外線は熱線ともいわれる。それは、赤外線は強い熱効果、すなわち物質に吸収されてその物質を発熱される効果があるためである。
フォトンを吸収しキャリアを励起することによって直接赤外線を検出するセンサである。このセンサは後に述べる熱型センサより100〜1000倍の検出能力を持つが、動作温度が低いため通常は液体窒素などで冷却の必要がある。
赤外線を熱に変換し、その熱を電気量に変換するセンサである。熱型赤外線センサは安価だが一般に周波数応答が低い。この熱型赤外線センサの一種で、焦電型センサというものがあり、これは他の熱型センサに比べ感度が高く、また構造が簡単であるためよく使われている。これは、焦電効果によって発っせられた電荷によって創られる電圧をFETで増幅し出力するセンサである。
※焦電効果とは
焦電効果は強誘電体における自発分極の温度特性を利用している。温度上昇によって焦電体セラミックスの分極の大きさが変化するとその変化分が電荷として放出されることになる。
これから実際に使われるセンサの詳細を示す。
項 目 | 記号 | 定格 | 単位 |
直流順電流 | IF | 100 | mA |
直流順電流低減率(Ta>25℃) | ΔIF/℃ | -1.33 | mA/℃ |
パルス順電流 | IFP(注) | 1 | A |
直流逆電圧 | VR | 5 | V |
許容損失 | PD | 150 | mW |
動作温度 | Topr | -20〜75 | ℃ |
保存温度 | Tstg | -30〜100 | ℃ |
Fig 4.1 外形 |
項目 | 記号 | 測定条件 | 最小 | 標準 | 最大 | 単位 |
順電圧 | VF | IF=100mA | --- | 1.35 | 1.5 | V |
逆電圧 | IR | VR=5V | --- | --- | 10 | μA |
放射強度 | IE | IF=50mA | 12 | 20 | --- | mW/sr |
光出力 | PO | IF=50mA | --- | 11 | --- | mW |
端子間容量 | CT | VR=0,f=1MHz | --- | 20 | --- | pF |
ピーク発光波長 | λP | IF=50mA | --- | 950 | --- | nm |
スペクトル半値幅 | Δλ | IF=50mA | --- | 50 | --- | nm |
半値角 | θ1/2 | IF=50mA | --- | ±23.5 | --- | ° |
Fig 4.2 波長特性[標準値] (IF=50mA,Ta=25℃) |
Fig 4.3 指向特性[標準値] (Ta=25℃) |
定格及び特性
Fig 4.4 構成図 |
項目 | 記号 | 定格値 | 単位 |
電源電圧 | Vcc | 0〜6.0 | V |
動作温度 | Topr | -10〜+60 ※1 | ℃ |
保存温度 | Tstg | -20〜+70 | ℃ |
保存温度 | Tsol | 260 ※2 | ℃ |
項目 | 記号 | 動作条件 | 単位 |
電源電圧 | Vcc | 4.7〜5.3 | V |
項目 | 記号 | MIN | TYP | MAX | 単位 | 備考 |
消費電流 | Icc | --- | 2.8 | 4.5 | mA | 入力光なし、出力端子OPEN |
ハイレベル出力電圧 | VOH | Vcc-0.2 | --- | --- | V | ※2,出力端子OPEN |
ローレベル出力電圧 | VOL | --- | 0.45 | 0.6 | V | ※2,プルアップ抵抗kΩ |
ハイレベルパルス幅 | T1 | 400 | --- | 800 | μS | ※2 |
ローレベルパルス幅 | T2 | 400 | --- | 800 | μS | ※2 |
B.P.F.中心周波数 | f0 | --- | 38 | --- | kHz |
Fig 4.5 バースト波 |
性能
Fig4.6に示す送信機を用いて、Fig4.7の光学系においてリモコンセンサの出力信号が下記の各項目を満足すること。
直線受信距離特性
Fig4.7において、L=0.2〜5m、Ee<10lx(※3)、φ=0°のとき、出力信号が表4.5の電気的特性を満足すること。
指向角受信距離特性
図2において、L=0.2〜3m、Ee<10lx、X方向φ≦30°、Y方向θ=0°のとき表4.5の電気的特性を満足すること。
又、L=0.2〜3m、Ee<10lx、X方向φ=0°、Y方向θ≦15°のとき表4.5の電気的特性を満足すること。
※3) 受光面照度を示す。
Fig 4.6 送信機 |
Fig 4.7 光学系 |
指向角特性
Fig 4.8 X方向特性 |
Fig 4.9 Y方向特性 |
Fig 4.10 赤外線センサ外形図 |
Fig 4.11 回路構成 |
割り込み信号部について
ここの部分は、恐らく、赤外線センサー受光部からの信号に変化が生じたときに割り込み信号を出すようになると思う。信号自体は、一発パルスではなく他の波形になると思われる。