超音波 センサー 1。超音波センサーの定理      超音波センサーというのは、超音波を利用したセンサーである。超音波とは人間の可聴範囲以  上(約20KHz以上)の音波のことをいう。 2。超音波センサーの性質      超音波は音であるので、常温の空気中を約340(m/s)という音速で伝播する。つまり、  1(cm)あたりの距離を{1/(340*100)(s)}= 28*10−6 (s)かけて進  む。従って、超音波の発射から、物体に反射して戻ってくるまでの時間の測定により、超音波の送受  波器から物体までの距離がわかる(fig.1)。                              fig.1   超音波の発射から、物体に戻ってくるまでの時間をT(1*10−6 s)とすると物体までの距離  dは次式で求めることができる。           d =  = 0.17*T (mm)                                            3。超音波センサーの指向性      指向性とは音が横に広がらないで目的の方向にすべての音エネルギが1本のビームとなって直  進する度合である。この指向性をεとすると次のようになる。             =  (この値が大きいほど指向性が良いことになる)  (2。1)             =                         (2。2)           λ : 波長 (長さの単位で10−6m)    c : 音の速さ(m/s)    f : 周波数(Hz)    D : 音源の直径(mm)   したがって(2。1)式より指向性を高めるには周波数の高いものが良いことになる。精度を必要と  する通信用(測定)は指向性を高めるため高周波超音波の周波数を1ー10MHz(メガ 106)  のものを使用する。特殊なものは30ー50MHz級のものも使用する場合がある。    この利点は指向性の良い送信器をそのまま受信器に使用する、横から伝播して周波雑音をすべて除  できる。   超音波センサーのビームの外観は次のように表す(fig.2)。                    fig.2                                  4。超音波センサーの内部構造    5。超音波センサーのいろいろ     下の表は超音波センサーの具体例であり。ここではその型名、測定範囲、精度、特徴などをそれ  ぞれ取り上げている。    型名  公称周波数    感度    特徴   メーカ名 MA23L3 20−26KHz (23KHz)  −73dB以上  −70dB以上 広帯域 (株)村田製作所 MA40S2R    40KHz  −74dB以上 小形(センサー) MA40S2S    40KHz  100dB以上 小形(スピーカ) MA40A5R    40KHz  −67dB以上 汎用広帯域 (センサー) MA40A5S    40KHz  112dB以上 汎用広帯域 (スピーカ) MA40E1R    40KHz  −74dB以上 防滴形 (センサー) MA40E1S    40Khz  106dB以上 防滴形 (スピーカ) MA200A1   200KHz  −54dB以上 整合器付距離計用 C40−16KM    40KHz   中心周波数  −68dB以上 送受兼養用型 シリコンハウス C400−12   400KHz   中心周波数  −80dB以上 高周波送受兼型 PT40−16I 白点    39.4−40 黄点 39.8−40 青点 40.2−41  105dB以上  105dB以上  105dB以上 防滴形 (スピーカ) PR40−16I 黄点 39.8−40  −78dB以上 防滴形 (センサー)                                            6。空気中の超音波は減衰が大きい    超音波は、媒質に応じて伝搬速度も異なるが、同じ伝搬媒質でも遠方に行くほど、そのエネルギー  が小さくなり、ついには消滅する。   この特性は固体より液体、液体より気体が著しく、空気中での実用範囲はせいぜい百メートル程度が  一応の限界である。      一般に空中を伝搬する超音波は媒質によるエネルギー吸収損と、回折現象により球面上に拡散  する拡散損失が支配的であり、これによってその伝搬距離が制約される。つまり、超音波エネルギー  は遠くへ行くほど、その減衰が大きいのである。      図6。1は空中超音波の減衰特性を表したものであり、 ここでは20KH、 50KHz、  200KHzの諸特性をそれぞれ取り上げている。       図から分かるように、超音波の振動数(周波数)が高ければ高いほどその減衰も大きく、伝搬距離が 短くなる。このため、伝搬距離を延ばすには低い周波数が何にかと有利である。ただし、周波数が低下 すると距離計測の分解能が低下するので、それらの配慮も必要となる。また、周波数が低くなればそれ に対応して超音波発生器の形状も大きくなり、それをドライブする電子回路も大きくなる。                                        7。空中超音波センサーMA40S2R/Sの諸特性       超音波センサーMA40S2R/Sはまとめたものである。また、センサーの公称  周波数が40KHzとなっているが、これは素子部の中心周波数であり、実用に際しては送信時は  直列共振と並列共振の中間点で、また受信時は並列共振周波数で、それぞれ使われている。   下に表7。1は超音波センサーMA40S2の諸元である。      定格    品  名    MA40S2R    MA40S2S   項  目     受 信 用     送 信 用   公 称 周 波 数     40KHz     40KHz   感 度 。 音 圧    −74dB以上    100dB以上   帯  域  幅 6KHz以上(−80dB)  7KHz以上(90dB)   静 電 容 量     1600pF     1600pF   絶 縁 抵 抗    100MOhm以上   100MOhm以上   温 度 特 性   −20− +60 C      において    感度。音圧の変化は    ー10dB以内   −20− +60 C      において        感度。音圧の変化は    ー10dB以内 8。超音波センサー回路    本回路はMIRS各機能の中において超音波探索機能を担うモジュールである。機能の概略としては、まずCPU側から距離計測用トリガ信号が回路に入力するとシステムに設置された4対の超音波素子のなかからCPU側より入力するセンサー選択信号で1対を選択する。そこからパルス状の超音波を送受信し、相手物体または外壁までの距離を8bit2進数で送出する。   各回路の詳細は次に述べる通りである。   1。主発振回路      この回路では、CPU側より入力されるトリガパルスを整形し、タイマICによってパルス幅0。35[ms]のタイミングパルスを作成する。タイミングパルス発振部からの40[KHz]の発振波と合成され、最終的には周波数40[KHz]。幅0.35[ms]の超音波パルス用信号が生成される。 2。アナログ。マルチプレクサ     アナログ。マルチプレクサは、コントロール信号の入力により複数のX端子およびY端子の中から1対を選択し、入出力する素子である。   3。送信回路     送信用信号は、並列されたインバータによって電流が2倍に増幅される。そして、超音波スピーカで電気信号から超音波に変換し超音波パルスが送出される。   4。受信回路     物体に当たり反射した超音波パルスは、超音波マイクロホンによって受信され受信波となる。これは減衰しているため、増幅器によって増幅し、信号処理可能なレベルにする。さらに波形成形し、不要なDC成分がカットされる。                                            5。比較回路     超音波マイクロホンによって受信された波形に、物体に当たって反射した反射波だけでなく直接超音波スピーカから伝播する回り込み波が存在する。後述するカウンタ回路より距離値を出力する 際、そのままではこの回り込み波を捉えてしまう。したがってこの部分を除去し、ディジタル信号に変換するおが本回路の機能である。 コンパレータの+端子にはタイミングパルスから作り出された比較電圧が入力する。これとアナログ受信波を比較しデイジタル受信信号が出力する。   6。カウンタ回路     デイジタル化された受信信号はRS−FFで送信用タイミングパルスとの時間差を別の信号になる。この回路の中で信号がラッチされる。                                                                                                                                                9。超音波センサーのブロッグ図 page 7