報告者:
1978年8月10日、インデアナ州のハイウェイで、追突されたピントが発火し、乗っていた十代の少女3名が焼け死ぬという事故が起こった。後部からの衝突で、ピントが発火した事故はこれが初めてではなく、ピントが発売されて以来7年間で、すでに50近い民事訴訟が起こされていた。しかし、このときは乗員の死亡にともなう刑事訴訟であった。
法廷でその衝突試験がつぎのように説明された:
これらの原型は,2台の生産ピント車とともに,フォード社で衝突試験がなされ,とりわけ後部の事故における燃料システムの完全性を判定するようにした。
……原型は後面から時速21マイル(33.8キロ)で移動障壁(=ムービング・バリア)がぶつかると,タンクが前方に動かされ,そこに穴があき,燃料漏れを生じた……
1台の生産ピント車は,時速21マイルでの固定障壁(=固定バリア)への衝突試験によって,タンクの燃料注入口がもげ,差動歯車ハウジングのボルトの頭によってタンクに穴があいた.少なくても1回の試験では,漏れた燃料がドライバー席に入ってきた.フォード社はまた,タンク内にゴム製の隔膜(bladder)を装着した場合,およびタンクを後部車軸の後ろではなく上に置いた場合について,後面衝撃試験をした.この両方とも時速21マイルの後面衝撃試験に合格した.
連邦政府はガソリンタンク設計への規制の強化を推進していたのだが,ピント車はその時点で適用可能なすべての連邦安全基準に明らかに適合していた.J.C.エコルドは,フォード社の自動車安全ディレクターであって,「衝突による燃料漏れと火災にともなう死亡者」と題する研究を発表した.この研究の主張によれば,その設計を改善する費用(1台11ドル)は,その社会的な受益を上回るという.その報告の注記に述べられた費用と受益は,つぎのとおりである.
| 節約 | 焼死者数 | 180 |
|---|---|---|
| 重傷者数 | 180 | |
| 炎上車両数 | 2,100 | |
| 単位費用 | $200,000/死亡者 | |
| $67,000/負傷者 | ||
| $700/車両 |
| 販売車数 | 乗用車 | 11,000,000 |
|---|---|---|
| トラック | 1,500,000 | |
| 炎上車両数 | 2,100 | |
| 単位費用 | $11/乗用車 | |
| $11/トラック |
死亡者,負傷者,および損害車両の数の推定は,統計的研究による.人間の生命の損失$200,000ドルは,全米高速道路交通安全管理局の研究によるもので,死亡者の社会的損失はつぎの計算によっている:
| 直接 | $132,000 | |
|---|---|---|
| 間接 | $41,300 | |
| 医療費 | 病院 | $700 |
| その他 | $425 | |
| 財産損害 | $1,500 | |
| 保健管理 | $4,700 | |
| 法的及び裁判所 | $3,000 | |
| 雇用者損失 | $1,000 | |
| 犠牲者の苦痛 | $10,000 | |
| 葬儀費用 | $900 | |
| 資産(失われた消費) | $5,000 | |
| その他の事故費用 | $200 |
フォード社は、賠償保険料を支払ってもピントを売り続ける方が利益になると判断した。ピントが売り続けられた結果、ほぼ500人が焼死した。
フォード社は、多くの民事裁判で敗訴し、少なくとも$50,000,000以上の賠償金を支払った。そして、ビジネスにおける悪評と、フード社は安全な製品を造る技術が無いと思われるようになって、計り知れないほどの損失をこうむった。