沼津高専 電子制御工学科
IOsubボード取扱い説明書
MIRSDBMD-SBRD-0106
改訂記録
版数 作成日 作成者 承認 改訂内容
A01 1999.7.7 山本 長澤 初版

目次

  1. はじめに
  2. 機能・性能
    1. 超音波センサ
    2. 赤外線センサ
    3. PWM回路
  3. インターフェース
  4. ソフトウェアビジビリティ

1.はじめに

本ドキュメントは、IOsub基板の取扱い方法について説明する。

2.機能・性能

2.1 超音波センサ

2.1.1 超音波センサ回路の機能概要
 超音波センサ回路の機能は大きく分けて、トリガが送られて来ると周波数40[kHz]の矩形波を0.4[ms]の間、送信回路に出力する機能と、受信信号を受け取ると、割り込み要求信号をMPUに送る機能の二つがある。また、正しく距離計測を行うために、回りこみ波を無視する機能も備え付けられている。
 距離計測はPITに内蔵されているタイマを利用している。このタイマは、トリガを受け取った時点でカウントを開始し、受信を感知すると停止する。このカウンタ値を読み込む事により障害物迄の距離を知ることができる。すなわち、タイマのクロック周波数は8×106/32[Hz]であるので、障害物までの距離Lは、
L=
* L:距離 v:音速 Count:カウント値
で与えられる。最後の1/2は、超音波が障害物までの距離を往復することを考慮しているためである。
 しかしながら、音速vは一定値ではなく、周囲の温度で変化するため、この方法では、ある程度の誤差は覚悟しなければならない。しかし温度によるLの誤差は非常に小さいので、、MIRS競技に使用するには問題はないと思われる。
2.1.2 回路構成
図1に回路構成図を示す。図1より@からEのブロックの機能について説明する。
@ 発振回路
 この回路は、コンデンサの放電を利用し、ゲートと組み合わせて構成した簡単な発振回路である。この回路では約40[kHz]の周波数を作り出している。
A ワンショット回路
 図2にPLDにプログラムされたワンショット回路構成図を示す。ワンショット回路は、64進カウンタと制御回路で、構成されており、PLDを2つ使っている。
 この回路から、トリガ一回毎に、ガードパルス、タイミングパルス、送信用ワンショットを一回づつ出力する。送信用ワンショットとCLKとのANDをとって幅0.4[ms]、周波数約40[kHz]のパルスを送受信回路に出力する。ガードパルス、タイミングパルスは、比較回路の項で述べる事にする。
B タイマ制御部
 PITのタイマを動かしたり、止めたりする部分である。タイマのカウントはトリガが送られてきてから、送信、又はタイマのオーバーフローが起こるまでの間行われる。この制御はRSフリップフロップで行い、タイマのスタート信号のON−OFF制御をする。
 PIT内臓のタイマは、設定によりいろいろ選べるが、この回路ではオーバーフローを検出できる「Device.Watchdog」という設定を選んだ。
C 比較回路
 この回路では、主にノイズの除去と回り込み波による影響の無視をおこなう。受信回路から送られてきた受信波と、基準電圧をコンパレータで比較し、基準電圧より低い電圧の信号を除去する。
 また、回り込み波の除去については送信してから、一定時間基準電圧のレベルをあげることで対処する。この時間はタイミングパルスによって決められる。さらに送信開始から一定時間受信そのものを無視する方法をとり、二重の対策をとっている。
D 基準電圧発生部
 超音波は波の性質を持っているため、スピーカから発信された超音波が、直接マイクで受信されてしまう。このため、障害物からの距離に関係なく、同じタイミングで受信が行われることのなる。回りこみはを受信するタイミングがわかっていれば、その間だけ基準電圧を5Vに引き上げれば、回りこみ波による影響をコンパレータによって打ち消すことができる。この基準電圧発生部は、コンデンサの放電を利用して、タイミングパルスから基準電圧を作り出す部分である。
E マルチプレクサ
 搭載されている4対のセンサのうち、一度に距離計測ができるのは一対だけである。計測をおこなうときには4対の内1対を選ばなければならない。マルチプレクサは、コネクタを通じて4つの送信回路と直結しており、PITから送られてくるセンサ選択信号により、使用する1対のセンサを選択する。センサにはそれぞれ0から3まで番号がつけられていて、センサ選択信号もそれに対応して00から11までの2ビットの信号により成り立っている。

2.2 赤外線センサ

2.2.1 赤外線センサ回路の機能概要・回路構成
 この回路は、赤外線周辺回路から送られてくるHigh levelもしくはLow levelの信号を処理し信号に変化が起きたときに、割り込み要求信号をMPUに送る機能を持つ。またその時の各受光素子の状態は後述のレジスタを読むことにより得る。I/OSUBボードに搭載されているこの信号処理部は主に周辺回路からの赤外線信号の同期をとる信号同期部と、68230に割り込み要求をする割り込み信号発生部から成る。図1に回路構成図を示す。

2.3 PWM回路

2.3.1 PWM回路の機能概要
 この回路は、モータを制御する信号であるPWM信号を作り出し、方向データとともに出力する回路である。速度データとカウンタのカウント値との比較によりPWM信号を形成している、この信号のDuty比は、速度データで128段階に変化させている。
2.3.2 回路構成
 図1に回路構成図を示す。右速度・方向データは68230のpartAから、左速度・方向データはportBから送られてくる。カウンタのCLKは、68230のToutから得ている。PWM信号発生回路は、カウンタより得られた8ビットのカウント値と7ビットの速度データとの比較によりPWM信号を形成している。PWM信号波形形成原理を図2に示す。Duty比は0%から50%で、これを128段階に分けている。速度データをnとするとPWM信号のパルス幅TとDuty比Dは次式で計算できる。
T[μs]=(n+1)×5[μs]
D[%]=(n+1)/256×100
            0≦n≦127

3.インターフェース

I/O Subボードのインターフェイスをここに示す。

CN1(VMEバスへ)
 abc abc
No.方向内容内容内容No.方向内容内容内容
1 未使用未使用未使用17-GND未使用未使用
2 未使用未使用未使用18 未使用未使用未使用
3 未使用未使用未使用19-GND未使用未使用
4 未使用未使用未使用20 未使用未使用未使用
5 未使用未使用未使用21 未使用未使用未使用
6 未使用未使用未使用22 未使用未使用未使用
7 未使用未使用未使用23 未使用未使用未使用
8 未使用未使用未使用24 未使用未使用未使用
9-GND未使用GND25 未使用未使用未使用
10 sysclk未使用未使用26 未使用未使用未使用
11-GND未使用未使用27 未使用未使用未使用
12 未使用未使用未使用28 未使用未使用未使用
13 未使用未使用未使用29 未使用未使用未使用
14 未使用未使用未使用30 未使用未使用未使用
15-GND未使用未使用31 未使用未使用未使用
16 未使用未使用未使用32INVccVccVcc

CN2(I/Oボードへ)
No.ピン名称方向内容No.ピン名称方向内容
1GND-GND26GND-GND
2H4IN割込み許可信号27PC7 未使用
3PC3/ToutOUTアンダーフロー信号28PC3/ToutINカウンタのCLK
4H3OUT割込み要求信号29PC5 未使用
5PA2/TinIN超音波カウンタスタート30PC2/Tin 未使用
6H2IN超音波送信トリガ31PC5 未使用
7GND-GND32PC1OUT左PWM方向データ
8H1OUT超音波割込要求信号33PC4 未使用
9GND-GND34PC0OUT右PWM方向データ
10PB7OUT赤外線信号35PB7IN左速度データ6ビット
11PB6OUT赤外線信号36PB6IN左速度データ5ビット
12PB5OUT赤外線信号37PB5IN左速度データ4ビット
13PB4OUT赤外線信号38PB4IN左速度データ3ビット
14PB3OUT赤外線信号39PB3IN左速度データ2ビット
15PB2OUT赤外線信号40PB2IN左速度データ1ビット
16PB1OUT赤外線信号41PB1IN左速度データ0ビット
17PB0OUT赤外線信号42PB0IN左PWM方向データ
18PA7 未使用43PA7IN右速度データ6ビット
19PA6 未使用44PA6IN右速度データ5ビット
20PA5INセンサ選択信号45PA5IN右速度データ4ビット
21PA4INセンサ選択信号46PA4IN右速度データ3ビット
22PA3 未使用47PA3IN右速度データ2ビット
23PA2INアンダーフロー信号48PA2IN右速度データ1ビット
24PA1OUT超音波センサ選択信号49PA1IN右速度データ0ビット
25PA0OUT超音波センサ選択信号50PA0IN右PWM方向データ

CN3(超音波センサへ)
No.ピン名称方向内容No.ピン名称方向内容
1VccINVcc9VccINVcc
2S0IN送信信号10S0IN送信信号
3S1OUT受信信号11S1OUT受信信号
4GND-GND12GND-GND
5VccINVcc13VccINVcc
6S0IN送信信号14S0IN送信信号
7S1OUT受信信号15S1OUT受信信号
8GND-GND16GND-GND

CN4(赤外線センサへ)
No.ピン名称方向内容No.ピン名称方向内容
1I1OUT赤外線信号9I5OUT赤外線信号
2VccINVcc10VccINVcc
3I2OUT赤外線信号11I6OUT赤外線信号
4GND-GND12GND-GND
5I3OUT赤外線信号13I7OUT赤外線信号
6VccINVcc14VccINVcc
7I4OUT赤外線信号15I8OUT赤外線信号
8GND-GND16GND-GND

CN5(モータ制御ボード)
No.ピン名称方向内容
1VccINVcc
2S0OUT右方向信号
3S1OUT右PWM信号
4S2OUT左方向信号
5S3OUT左PWM信号

4.ソフトウェアビジビリティ

 1) 超音波センサ回路
(注:アドレスのXXはIOボードのジャンパーによる設定により定まる。
割り当てられたアドレス 設定 R/W 内容
FCXX41 00X1**00 モード0に設定
FCXX4D 01111011 サブモード01に設定
FCXX51 XX

  X   

    XX

センサ選択信号

アンダーフローデータ

センサ選択信号の折り返し(ボード試験用)

FCXX45 00000011 方向を設定        (6、7ビット目を出力)
FCXX61 1X11001changed カウンタを設定
FCXX67、69、6B
3バイトでカウンタの設定値
FCXX6F、71、73
カウンタ値
FCXX47を設定するときはFCXX41を全て0にしてから行う事
* は赤外線センサボードを参照


制御フロー
4KB

 2) PWM回路
 ADDRESS A7A6A5A4A3A2A1A0    DATA   D7D6D5D4D3D2D1D0 READ/WRITE       FUNCTION REGISTER
00000001 00000000 portをモード0に設定 PGCR
00001101 1×0××000 portAをサブモード1×に設定 PACR
00001111 1×0××000 portBをサブモード1×に設定 PBCR
00000101 11111111 portAの全てのピンを出力に設定  PADDR
00000111 11111111 portBの全てのピンを出力に設定 PBDDR
00100111 00000000  W Toutの出力周波数が、200[kHz]になるように設定 CPRH
00101001 00000000 CPRM
00101011 00010100 CPRL
00100001 01×00001 TimerをSquare Wave Generatorに設定 TCR
00010001 D0は方向、D7〜 D1速度データ portAに速度・方向データを出力 PADR
00010011 portBに速度・方向データを出力 PBDR
00011001
portC(D0D1)から方向データを読む(折り返し試験用)。 PCDR
A23〜A16は全て11111100であり、A15〜A9は、IOボードのjumperによって決定する。A8は1である。
PWM信号のDuty比は次式で計算できる。
Duty比(%) = ( 速度データ / 127) * 100
PWM信号の周期T、周波数fは次式で計算できる。
T[s]= 速度データ * 5[μs]
f[Hz]= 1 / T

制御フロー
4KB

 3) 赤外線センサ回路
割り当てられたアドレス DATA R/W 機能
FCXX41 0 0 1 * 1 1 * * W モードを0に設定
FCXX47 0 0 0 0 0 0 0 0 W ポートBの方向を入力に設定
FCXX4F 0 0 1 1 0 0 1 × W ハンドシェイクピンとサブモードの設定
FCXX57  赤外線信号の状態 R ポートBのデータの読みだし
ハンドシェイクピンとサブモードの設定について
上の表ではH3を割り込み可能で出力、インターロック方式のハンドシェイク・プロトコルにしサブモードを00にしているが、このほかの制御方法も可能である。

制御フロー
3KB



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