沼津高専 電子制御工学科
PWM回路の調査
MIRS9904-TECH-0007
改訂記録
版数 作成日 作成者 承認 改訂内容 提出先
A01 1999/12/9 吉川    初版   
A02 2000/1/26 吉川    追加調査    

調査報告

[1]PWM制御

PWM制御について

PWMとは、Pulse Width Modulationの略でパルス幅変調といい、周期が一定で、入力信号の大きさによってパルス幅 のDuty比(パルス幅のHとLの比)を変化させる方法です。まず三角波、またはノコギリ波を入力信号と比較し、入力 信号以上の部分があるときは出力をOFFにして、それ以外はONとします。入力信号を変化させることによって、トラン ジスタのON/OFFの間隔が変化し、モータへ供給する平均電流を自由に変化させることができます。これにより、任意 の速度で走行することが可能になります。また、パルス幅の等価電圧を正弦波状に変化させ、低次高周波の少ない滑 らかな出力を得ることができます。



[2]PWM回路

(1)機能概要

この回路は、モータを制御する信号であるPWM信号を作り出し、方向データとともに出力する回路である。 速度データと方向データは68230のportA/Bから送られ、速度データとカウンタのカウント値との比較により PWM信号を形成している。68230のToutからは、200[kHz]のCLKを得る。これと速度データとの比較によ りPWM信号を形成している。また、この信号のDuty比は、速度データで128段階に変化させている。図1に 回路構成図を示す。



図.1 回路構成図


(2)回路構成(機能ブロック図)

右速度・方向データは68230のportAから、左速度・方向データはportBから送られてくる。カウンタのCLKは、68230のToutから得る。 PWM信号発生回路は、カウンタより得られた8bitのカウント値と7bitの速度データとの比較によりPWM信号を形成している。PWM信号波形形成原理図を図.2に示す。

図.2 PWM信号波形形成原理図


図.2からもわかる様に今回設計製作した基板は、Duty比が0%〜50%までのPWM波形を出力するようにしたものである。図2から分かるように Duty比が50%ともなると、モータの回転が速すぎて競技に使えるような速度ではない。そこであるところが実際にタイヤの回転数を回転計を用いて測定してみた”Duty比ータイヤの回転数の特性図”を用い図3に示す。


図.3 Duty比−タイヤの回転数の特性図


この図から解ることはまず一つめに、Duty比が10%〜50%位まではほぼ直線的な特性を示しているということ、そして二つめにDuty比が50%を越えるとタイヤの回転数にほとんど変化がみられなくなるということだ。従ってDuty比が10%〜50%までのPWM波形を出力させることが出来れば充分であることがわかる。そこで試作ボードでは、Duty比0%〜100%までを128段階に変化させていたものを初版ボードでは、Duty比0%〜50%までを128段階に変化させる様に改良した。つまり少ないDuty比を128段階に変化させ、より細かく正確にモータを制御する事が可能であるという事になる。

速度データをnとするとPWM信号のパルス幅TとDuty比Dは次式で計算出来る。

    T[μs]=(n+1)×5[μs]
    D[%] =(n+1)/256×100
                0≦n≦127