沼津高専 電子制御工学科
IO-subボード調査報告書
MIRS9903-TECH-
改訂記録
版数 作成日 作成者 承認 改訂内容 提出先
A01 2000.1.31 中西 小杉 初版

1.I/O-subボード概要

 I/Osubボードは、赤外線センサ回路、超音波センサ回路、PWM回路の3つの回路を搭載したボードである。
 fig.1に、I/Osubボードの外形図を示す。


     fig.1 I/Osubボードの概略図

     


2.赤外線センサ回路


 赤外線センサ回路構成図をfig.2に示す。
 fig.2に示すように、この回路は@周辺回路からの同期をとる「信号同期部」と、A68230に割
り込み要求をする「割り込み信号発生部」からなる。
 この回路は、赤外線周辺回路から送られてくるHigh levelまたはLow levelの信号を処理し、
信号に変化がおきたときに割り込み要求信号をMPUに送る。という機能をもつ。
 各受光素子の状態は、レジスタを読むことによって得ている。
 この回路で使用している受光素子はIS1U60である。
  
 

    fig.2 赤外線センサ回路構成図        



 

3.超音波センサ回路


 超音波センサ回路構成図をfig.3に示す。
 超音波センサ回路はfig.3に示すように、@発振回路、Aワンショット回路、Bタイマ制御部、C比較回路、
D基準電圧発生部、Eマルチプレクサから成る.。(図中の番号と対応している.。)@〜Eの説明は後に示す。
 超音波センサ回路の機能は、トリガが送られて来ると周波数40[kHz]の矩形波を0.4[ms]の間、送信
回路に出力するという機能と、受信信号を受け取ると割り込み要求信号をMPUに送るという機能をもつ。
 距離の計測はタイマのカウンタ値を読む事で行う。このタイマは、トリガを受け取ってから受信を感知するま
での間回し続けるのでカウンタ値と音速より障害物迄の距離を知ることができる。
 距離の計測に用いるカウンタはPITに内蔵されているタイマを利用している。
 タイマのクロック周波数は8×106/32[Hz]であるので、障害物までの距離Lは

    L=Count×(8×106/32)−1×v×(1/2)
    * L:距離 v:音速 Count:カウント値

で与えられる。最後の1/2は、超音波が障害物までの距離を往復するので、そのことを考慮して付け加えられ
ている。
 しかしながら、音速vは一定値ではなく、周囲の温度で変化するため、この方法では、ある程度の誤差
は覚悟しなければならない。
 
 

 
      fig.3 超音波センサ回路構成図
 
         

@発振回路

 発振回路構成図をfig.4に示す。
 この回路はコンデンサの放電を利用し、ゲートと組み合わせて構成した簡単な発振回路である。ここで40[kHz]
の周波数をつくる。超音波センサ回路のメインクロックともなる重要な回路だがこの方法で正確に40[kHz]の周
波数を作り出すことは難しい。また、ICにCMOSを使用しているので、回路自体がデリケートなこと、コンデンサの
放電を利用しているので、少しの状況の変化(接触や、端子の先のRの値)によって、発振したりしなかったりと言
うこともある。
 中央の抵抗値によって周波数が変化するので、最初は可変抵抗で抵抗値を変化させながらオシロスコープで、
周波数を調べ丁度40[kHz]の周波数を示した時、その時の可変抵抗の抵抗値にできるだけ近い値(約5.6kΩ)を
持つ抵抗を付けた。

                fig.4 発振回路構成図
 
 

Aワンショット回路

 fig.5に、ワンショット回路構成図を示す。
 ワンショット回路は、64進カウンタと制御回路で、構成されており、PLDを2つ使っている。
 ワンショット回路は、トリガ一回毎に、ガードパルス、タイミングパルス、送信用ワンショットを一回
づつ出力する。送信用ワンショットとCLKとのANDをとって幅0.4[ms]、周波数約40[kHz]のパルスを送受信回
路に出力する。(ガードパルス、タイミングパルスは、比較回路の項で述べる事にする。)
 

 
     fig.5 ワンショット回路構成図
 
 

Bタイマ制御部

 PIT内部のタイマを動かしたり、止めたりする部分である。タイマのカウントはトリガが送られて来てか
ら、受信、又はタイマのオーバーフローが起こるまでの間行われる。この制御はRS−FFで行い、タイマのスタ
ート信号のON/OFF制御をする。
 PIT内蔵のタイマは、設定によりいろいろ選べるが、この回路ではオーバーフローを検出できる「Device.Watc
hdog」と言うタイマを選んだ。
 
 

C比較回路

 比較回路では主にノイズの除去と回り込み波による影響の無視を行う。受信回路から送られて来た受信
波と、基準電圧をコンパレータで比較し、基準電圧より低い電圧の信号を除去する。
 また、回りこみ波の除去については、@送信してから一定時間基準電圧のレベルを上げる事で対処する。この
時間はタイミングパルスによって決められる。A送信開始から一定時間受信そのものを無視する。このように二
重の対策で回りこみ波を除去している。この受信無視時間の長さはワンショット回路から出力されるガードパルス
で決定される。
 
 

D基準電圧発生部

 超音波は波の性質を持っているため、スピーカから送信された超音波が、直接マイクで受信されてしまう。
 このため、障害物からの距離に関係なく、同じタイミングで受信が起きる事になる。回り込み波を受信する時間
さえわかっているなら、その間だけ基準電圧を5vに引き上げれば、回り込み波による影響をコンパレータによっ
て、打ち消す事が出来る。この基準電圧発生部は、コンデンサの放電を利用して、タイミングパルスから基
準電圧を作り出す部分である。
 
 

Eマルチプレクサ

 搭載されている4対のセンサの内、一度に距離計測が出来るのは1対だけである。計測を行うときには4対の内
1対を選ばなければならない。
 マルチプレクサは、コネクタを通じて4つの送受信回路と直結しており、PITから送られてくるセンサ選択信号
により、使用する1対のセンサを選択する。
 センサにはそれぞれ0から3まで番号がつけられていて、センサ選択信号もそれに対応して00から11迄の2ビ
ットの信号より成り立っている。
 
 



 

4.PWM回路


 fig.6にPWM回路構成図を示す。
 右速度・方向データは68230のpartAから、左速度・方向データはportBから送られてくる。カウンタのCLKは、
68230のToutから得ている。PWM信号発生回路は、カウンタより得られた8ビットのカウント値と7ビ
ットの速度データとの比較によりPWM信号を形成している。
 


fig.6 PWM回路構成図
 

 PWM信号波形形成原理をfig.7に示す。Duty比は0%から50%で、これを128段階に分けている。
速度データをnとするとPWM信号のパルス幅TとDuty比Dは次式で計算できる。

         T[μs]=(n+1)×5[μs]
         D[%]=(n+1)/256×100    0≦n≦127


   fig.7 PWM信号波形形成原理
 
 



 

5.調査からわかったこと

 実際にMIRSを作るにあたり、、I/Osubボードにおいて改良すべき点は無い。
(センサの数などを増やさない限り)