沼津高専 電子制御工学科
MIRS9903基本設計書
MIRS9903-DSGN-0001-A01
改訂記録
版数 作成日 作成者 承認 改訂内容
A01 2000.2.3 MIRS9903 小杉 初版
A02 2000.4.25 MIRS9903 小杉 タッチセンサの数を増やす、赤外線センサの数を減らす、ルートの変更
A03 2000.6.16 MIRS9903 小杉 リンクの修正、ソフトの状態遷移図変更
B01 2000.7.24 宮田 小杉 マイクロスイッチ機構部変更による改正
B02 2000.12.13 宮田 小杉 車高の変更による図の変更
B03 2000.12.15 宮田 小杉 超音波センサの位置変更

目次

  1. はじめに
  2. システム概要
  3. 諸元
    1. 外観
    2. 機能性能
  4. システムの動作規定
  5. システム構成ツリー
  6. ハードウェア構成
    1. エレクトロニクス回路構成/機能
    2. エレクトロニクス回路基板外形
    3. 保守交換単位
    4. ソフトウェアビジビリティ
  7. ソフトウェア構成
    1. 動作モード
    2. リアルタイムモニタ
    3. タスク構成/機能
    4. マンマシンインターフェイス
    5. 試験機能

    1.はじめに

    本仕様書はMIRS99競技規定に基づきMIRS9903の作成する自律型小型知能ロボットの基本仕様を記述する。

    2.システム概要

    ハードウェア

    MIRS9903システムのハードウェアは標準MIRSに準ずる構成を有するが、MIRS9903固有の機能を実現するためにいくつかの変更点がある。以下に標準MIRSと異なる点を述べる。

    ソフトウェア構成

    ソフトウェアは複数のイベントドリブン型のタスクからなり、割り込みおよびタスクの管理はリアルタイムモニタMIRX68Kを用いて実現する。

    システムの動作

    MIRS9903システムは、所定のコースを走行し、側面の超音波センサでポストの探索をする。ポストを発見したらポストまで移動し、(この時ポストの位置を記憶)赤外線を感知するまでポストを周回する。赤外線を感知したらポストのほうを向き、スイッチを押す。押した後所定のルートに戻り次のポストを探す。2回目の競技は1回目の競技で得たポストの位置をもとに最短ルートでポストの位置まで移動する。(獲得動作は1回目と同じ。)

    3.諸元

       
    1. 外観
      下に本システムの外観を示す。

      ポストスクリプト形式
      MIRS9903外観図

         


         次に1階シャーシ図、2階シャーシ図を示す。     

      ポストスクリプト形式(1階シャーシ)
          
          
      ポストスクリプト形式(2階シャーシ)
              
    2. 機能性能

    4.システムの動作規定

     MIRS9903システムは、一回目の競技開始と同時に前進し、タッチセンサが反応するまで進む。壁にぶつかったら、5cm後退して壁から5cm離れた探索ルート(下図参照)を、右の超音波センサでポストを探索しながら進む(この時、赤外線センサは使わない)。この位置はポストがないので回避行動をしないで探索できる。

    fig.4.1
    ポストスクリプト形式

     ポスト探索では、ポストを発見しても、距離が90cm以上のときは接近せず、そのまま進む。90cm以内にポストがあるときは、獲得済みか判断し、獲得済みならそのままルートを進み、未獲得なら、接近モードに移る。
     接近モードでは、MIRS前面をポストに向け、前進する。ポストに接触したら、その位置を記憶してから獲得モードへ移る。
     獲得モードでは、ポストの周りを周回し、赤外線をセンサが感知したら、ポストの方を向き前進してスイッチを押し、後退する。後退してから前面の赤外線センサが反応していたら、反応が無くなるまで繰り返し押す。反応が無くなったら、ルートに復帰する。ポストの周りを周回しても赤外線をセンサが感知できなかった場合はもう一度ポストを周回する。
     二回目の競技では、開始時に一回目で得たマップをもとに最短軌道を計算し、その軌道に沿って移動、一回目と同じくしてポストを獲得する。
     軌道のトレースは基本的にロータリーエンコーダを使い、自己位置を確認しながら行う。また、定期的に超音波センサによって前後左右のずれを修正する。

    5.システム構成ツリー

    下記にシステムの構成を示す。
     
    MIRS9903製造仕様書
    |- MIRS9903組立図
    | |- シャーシフレーム組立図
    | | |- シャーシフレーム
    | | |- モーターx2
    | | |- モーター取付金具x2
    | | |- 可逆モータパワー変換ボード
    | | |- タッチセンサ・ロータリエンコーダケーブル
    | | | |- マイクロスイッチx5
    | | | |- コネクタ類
    | | | |- ケーブル類
    | | | |- ケーブル検査仕様書
    | | |- 前面タッチセンサ機構部
    | | |- 前面タッチセンサ右機構部
    | | |- 前面タッチセンサ左機構部
    | | |- 取り付けネジ類
    | | |- シャーシフレーム試験仕様書
    | |- 電子回路フレーム組立図
    | | |- 電子回路フレーム
    | | |- ラック
    | | | |- VMEラック
    | | | |- CPUボード(VSBC1)
    | | | |- IOボードアセンブリ
    | | | | |- IOボード(VIPC310)
    | | | | |- IPDigital48ボード
    | | | | |- ロータリエンコーダボード
    | | | | |- ジャンパ設定仕様書
    | | | |- IOSubボード
    | | | |- MMIボード
    | | | |- VMEラックジャンパ設定仕様書
    | | |- 電源制御基板
    | | |- 超音波センサx4
    | | |- 赤外線センサx5
    | | |- ケーブル接続図
    | | |- 取付金具
    | | |- ネジ類
    | |- ケーブル接続図
    | |- 電池ホルダ
    | |- 取付金具
    | |- ネジ類
    |- 電池
    |- ソフトウェアインストール手順書
    | |- MIRS9903.X(プログラムファイル)
    |- MIRS9903試験仕様書
    |- MIRS9903取扱説明書 

6.ハードウェア構成

  1. エレクトロニクス回路構成/機能

  2. fig.5.1 MIRS9903エレクトロニクス回路ブロック

    各部の機能

    1. CPU部

    2. 以下の仕様のCPUボードを使用している。
    3. 名称 VSBC-1 Single Board(68HC000) Computer Module for the VMEbus
    4. CPU MC68HC000 クロック : 12.5MHz(16.7MHzに変更可能)
    5. RAM SRAM 256KB×2
    6. ROM EPROM 128KB
    7. 電源ボード

    8. エレクトロニクス回路用の5v電源、駆動用の12v電源を用意する。それぞれの電源は分離されている。
    9. 汎用入出力制御(PIT)部(VIPC310)

    10. VIPC310を使用する。このI/OボードはRS−232C端子を2個持っている。 また、INDUSTRY PACK を2個搭載することができ、ロータリーエンコーダボード、IP-Dig.48をそれぞれ搭載している。
    11. ロータリエンコーダ制御部

    12. タイヤの回転数をパルスにして、回転子の回転数&速度の検出を行う。 仕組みはLEDの光を、スリットで通過、遮断させ、それを受光素子で検出後、信号にす る カウンタ回路はカウンタ(7bit)と方向判別(1bit)の両方を兼ね備えている。
    13. 超音波センサ回路

    14.  40kHzの超音波を使用して距離を測定する。MIRSの現在の座標の測定、 ポストの発見に使用する。
    15. 赤外線センサ回路部

    16. 5つのセンサを使って、ポストから発信される赤外線を受信し、 ポストを獲得するのに使用する。
    17. pwm回路部

    18. ロータリーエンコーダのデータと与えた速度データを比較し、 MIRSの速さを制御する。
    19. タッチセンサ回路部

    20.  前面タッチセンサ機構部によりマイクロスイッチ(omronSS-5GL) が押されるようにし、そのON,OFFをロータリーエンコーダへ知らせる機能を持つ。  タッチセンサ信号処理回路は、タッチセンサの信号からスイッチ割り込みの割り 込み要求をおこなう。回路は、タッチセンサのチャタリング防止回路と割り込み信 号発生回路、タッチセンサステータス出力回路、割り込みVECTOR発生回路から成る。 また、5個のタッチセンサを搭載するのでロータリエンコーダボードとタッチセンサの間にタッチセンサボードをいれる。タッチセンサボードはタッチセンサからくる5つの信号を3つにする機能を持つ。
    21. モータ制御部(Moter Power Circuit)

    22. DCモーターは一般に言う直流モーターのことであり直流電源でまわる。大きな起動トル ク、出力効率の良さ が特徴。PWM制御からのパルスによってエネルギーを得る。このパルス幅を変調するこ とによって、 結果的にモーターへの供給エネルギーを調整することが出来る。この制御法は、電力パル スがオンの時だけ モーター電流を流す。また、パルスのデューティー比を変えることによって、モーターの 回転数が変わる。
    23. MMI部(Man-Machine Interface Board)

    24. 7SEG-LEDを用いて、人間とMIRSの間の情報交換を行う。 7SEG-LED、赤、緑LED、4ビットロータリーディップスイッチ、 押しボタンスイッチを備える。
  3. エレクトロニクス回路基板外形
    1. 下記についてはVMEハーフハイト基板仕様に従う。
      • CPUボード(VSBC1)
      • IOボード(VIPC310)
      • IOSubボード
      • マンマシンインタフェースボード
    2. 下記についてはIOボード(VIPC310)インダストリパック仕様に従う。
      • IPボード(IPDigital48)
      • ロータリエンコーダボード
    3. 下記については標準MIRS基板を使用するのでMIRSデータベースを参照すること。
    4. 注:電源制御基板については、今まで勝敗判定装置として使用していた部分を、強制停止装置として使用する。また、赤外線LED回路は取り付けない。
    5. 下記についてはmirs9903が製作する。
      • タッチセンサボード(MIRS9903エレクトロニクス詳細設計書参照)

  4. 保守交換単位
    • シャーシフレーム
    • モーター
    • 可逆モータパワー変換ボード
    • 前面タッチセンサ左機構部
    • 前面タッチセンサ中央機構部
    • 前面タッチセンサ右機構部
    • タッチセンサ右機構部
    • タッチセンサ左機構部
    • VMEラック
    • CPUボード
    • IOボード
    • IPDigital48ボード
    • ロータリーエンコーダボード
    • IOsubボード
    • MMボード
    • 電源制御基板
    • 超音波センサボード
    • 赤外線センサボード
    • 電池ホルダ
    • 電池
  5. ソフトウェアビジビリティ 
    本システムのソフトウェアビジビリティは標準MIRSソフトウェアビジビリティ(現在作成中)の仕様と同一である。但し、各センサの位置とIOポートアドレスの対応は下表による。
  6. センサ IO port Address/bit 備考
    超音波センサ FC6151/00
    FC6151/01
    FC6151/10
    FC6151/11
    赤外線センサ 前(右)   FC6157/0bit(LSB)
    前(左) FC6157/1bit
    右(前) FC6157/2bit
    右(中) FC6157/3bit
    右(後) FC6157/4bit
    タッチセンサ 前右

    前中
    前左


注:超音波センサはセンサ選択のアドレスを記載してある。 実際に読み出す場合は、FC616F,FC6171,FC6173の値を読み込む。

7.ソフトウェア構成

  1. 動作モード

    状態遷移表
    現在の状態/次の状態 初期状態 ルート移動(1回目) 接近 スイッチ探査 獲得 復帰 回避 誤動作修正 ルート移動(2回目)
    初期状態
    競技1回目(DIPSW=0)





    競技2回目(DIPSW=1)
    ルート移動(1回目)

    超音波センサによりポスト発見
    ルート上に未獲得ポストを発見
    ルート上に獲得済ポストを発見 MIRSが動かない
    接近


    タッチセンサ検出あり(ポスト発見)
    見失った
    MIRSが動かない
    スイッチ探査



    赤外線センサ検出あり(スイッチ発見) 見つからない
    MIRSが動かない
    獲得




    スイッチを押し、赤外線の反応が消えたのを確認 & DIPSW=0
    MIRSが動かない スイッチを押し、赤外線の反応が消えたのを確認 & DIPSW=1
    復帰
    元の位置に戻った




    MIRSが動かない
    回避
    ルートに戻った。




    MIRSが動かない
    誤動作修正
    位置確認終了






    ルート移動(2回目)


    獲得ポイントに到達 & 前方の赤外線センサに反応あり


    MIRSが動かない

    状態の定義

    1. 初期状態:電源投入、システムリセットの最初の状態。
      • 1回目(DIPSW=0)ならばルート移動状態(1回目)に遷移する。
      • 2回目(DIPSW=1)ならばルート移動状態(2回目)に遷移する。
    2. ルート移動状態(1回目,2回目):ルート上を移動しつつ超音波センサによりポストの探索を行い、ロータリエンコーダ・超音波センサを用い常に自分の位置を修正する。
      • 超音波検出有りかつ獲得していないポストに近い場合、接近状態に遷移する。
      • 1回目では、ルートを壁づたいにとって、移動するが、2回目ではポストの各スイッチを結ぶルートを走行する。
      • 2回目では、あらかじめルート上にポスト獲得ポイントを設定しておき、その時点で前方の赤外線センサに反応があった時、獲得状態に移行する。
      • タッチセンサによりルート上に未獲得ポストを発見した時、獲得モードに遷移する。
      • タッチセンサによりルート上に獲得済ポストを発見した時、回避モードに遷移する。
    3. 接近状態:超音波で発見した離れたところに存在するポストを獲得するため、そこまで移動する。
      • タッチセンサ検出有りの時、スイッチを押す状態に遷移する。
      • 見失った場合、復帰状態に遷移する。
    4. スイッチ探索状態:赤外線でスイッチを位置を探す。
      • スイッチをみつけた(赤外線検出)時、獲得状態に遷移する。
      • どうしても見つからない場合、復帰状態に遷移する。
    5. 獲得状態:ポストのスイッチを押してポストを獲得する。
      • ポストを獲得した(赤外線消灯)時、復帰状態に遷移する。
    6. 復帰状態:移動ルート上への復帰移動を行う。
      • 元の位置に戻った時、ルート移動状態に遷移する。
    7. 回避状態:ルート上の獲得済ポストを回避してルートに戻る。
      • ポストを回避し、ルートに戻ったらルート移動状態に遷移する。
    8. 誤動作修正状態:何らかの原因によりMIRSが動かなくなってしまった場合に、そこから抜け出し、座標修正をする。
      • 座標確認が終わったらルート移動状態に遷移する。この後の動作はルート移動状態1のルートでポストを獲得する。(DIPSWの値に寄らない)
  2. リアルタイムモニタ

  3. MIRS用に開発されたMIRX68Kを使用する。
    MIRX68Kuser's manual(現在作成中)
  4. タスク構成/機能


    1. 低レベルタスク :主に、高レベルタスクからハードウェアのコントロールのために起動される。
    2. 高レベルタスク
    3. メインタスク
  5. マンマシンインターフェース

  6. マンマシンインタフェースとして以下の機能を具備すること。
  7. 試験機能

  8. 下記の試験機能を有する。