沼津高専 電子制御工学科
MIRS9902調査報告書

 
    MIRS9902-TECH-0002
改訂記録
版数 作成日 作成者 承認 改訂内容
A01 2000/1/20 渡辺 河野 初版
MIRS9902 IR_senser1 Tech

1 主旨

 赤外線センサと赤外線LEDの仕組み、特性、及び、定格を調査しMILSへの利用法を検討する。

2 赤外線センサの種類

 量子型
フォトンを吸収しキャリアを励起することによって直接赤外線を検出するセンサである。このセンサは後に述べる熱型センサより100〜1000倍の検出能力を持つが、動作温度が低いため通常は液体窒素などで冷却の必要があるため、MIRSでの利用は望めない。


 熱型
エネルギー吸収による温度変化を利用するもの。素子としては、熱電対サーミスタ・ボロメータ、焦電型素子などがある。特に焦電型素子は比較的感度が高く、構造が簡単なのでよく用いられる。


 ◎赤外線センサの利点は、主に”赤外線は可視光線に比べて空気中の透過率が高い”ということ。(しかし、波長によっては透過率が低い赤外線もある


3 赤外線センサについて

  1. 使用素子
  2. ・<発光側>赤外線LED TLN105B
      ◎特徴
      放射強度が大きい。
      指向特性が広い。
      光出力の直線性が良く、パルス動作、高周波による変調が可能。

    ・<受光側> SHARP   IS1U60


  3. 指向特性
  4. 赤外線送信機の指向特性
    赤外線受信機の指向特性

  5. 発光側の定格及び特性
    1. 外観
    2. LED外観

    3. 最大定格
    4. 最大定格(Ta=25)
      項   目記号定格単位
      直流順電流IF100mA
      直流順電流低減率(Ta>25℃)ΔIF/℃-1.33mA/℃
      パルス順電流IFP(注)1A
      直流逆電圧VR5V
      許容損失PD150mW
      動作温度Topr-20〜75
      保存温度Tstg-30〜100
       (注)パルス幅≦100μs、繰り返し周波数=100Hz

    5. 電気的特性
    6. 電気的特性(Ta=25℃)
      項目記号測定条件最小標準最大単位
      順電圧VFIF=100mA---1.351.5V
      逆電圧IRVR=5V------10μA
      放射強度IEIF=50mA1220---mW/sr
      光出力POIF=50mA---11---mW
      端子間容量CTVR=0,f=1MHz---20---pF
      ピーク発光波長λPIF=50mA---950---nm
      スペクトル半値幅ΔλIF=50mA---50---nm
      半値角θ1/2IF=50mA---±23.5---°

    7. 波長特性
    8. (標準値、IF=50mA、Ta=25℃において)
      波長特性(グラフ)

    9. 製作における注意
      1. リードフォーミングは、リード線のストッパ部より先端部分で、素子に跡が残らないように曲げ、その後に半田付けする。
      2. 半田付けは、リード線のストッパ部より先端部分で行う。
      3. 半田付けの温度は、260℃以下。時間は5秒以下とする。

  6. 受光側の定格及び特性
    1. 外観
    2. センサ外観

    3. 構成図
    4. センサ構成図(回路図)

    5. 絶対最大定格
    6. 項目 記号 定格値 単位
       電源電圧  VCC  0〜6.0  V 
       動作温度  Topr ※1 −10〜60  ℃ 
       保存温度  Tstg  −20〜70  ℃ 
       半田温度  Tsol ※2    260  ℃ 
       ※1 結露なきこと。 ※2 樹脂端面より下部の位置で5秒間

    7. 推奨動作条件
    8. 項目 記号 動作条件 単位
       電源電圧  VCC  4.7〜5.3  V 

    9. 電気的特性
    10. 項目 記号 最小 標準 最大 単位 備考
       消費電流  ICC  −  2.8 4.5  mA  入力光なし、出力端子OPEN
       Hレベル出力電圧  VOH CC−20  −  −  V   ※3、出力端子OPEN
       Lレベル出力電圧  VOL  − 0.45 0.6  V   ※3、プルアップ抵抗2.2kΩ
       Hレベルパルス幅  T1  400  − 800  μs  ※3
       Lレベルパルス幅  T2  400  − 800  μs  ※3
       B.P.F中心周波数 f0  −  38  −  kHz  
       下図に示すバースト波を、送信機にて送信するものとする。
      バースト波

  • 回路構成
  • 赤外線センサ信号回路

    赤外線センサ信号処理回路

    赤外線センサ信号処理回路


    ・割り込み信号部は、赤外線センサー受光部からの信号に変化が生じたときに割り込み信号を出すと思う。信号自体は、一発パルスではなく他の波形になると思われる。



    4 検討

    1. 赤外線センサ取り付け高さについて
    2. 赤外線受信機のy方向指向性特性からわかるように、角度θ=0のときが一番受信距離が長いので、赤外線センサの取り付け高さは、赤外線発光部と同じ高さ(床から6cm)が良い。 ポストから赤外線センサまでの距離(アームの長さ)をxcmとすると、取り付け可能な高さは、床から6±tan30゜cmとなる。

    3. ポート数について
    4. 使用するポート数は、センサの数+2(割り込み要求信号と許可信号)

    5. ポスト探索モードで赤外線センサを使うか
    6. ポスト探索モードで赤外線を拾えれば、ポスト獲得がはやくなるが、赤外線センサは、指向性が広く大まかな方向しかわからず、距離も測れないため、超音波センサと併用してもそのままでは使う事はできない。 使用素子を変える、センサを壁で囲うなどして指向性を狭くしなければならない。そのとき、ポスト獲得のために指向性の広いセンサも残しておく必要がある。