沼津高専 電子制御工学科
超音波センサ調査報告書
MIRS9902-TECH-0001
改訂記録
版数 作成日 作成者 承認 改訂内容 提出先
A01 2000.1.17 水野,宮崎 宮崎,水野 初版

超音波センサの調査結果を以下に示します。
1.超音波の性質
 (1)超音波センサの温度による誤差について
    音の速度は次式で与えられる。
         v=331.5+0.6k *kは温度
       ここでtが10度から20度まで変化したとすると1m進むのにかかる時間は
        kが10度 v=337.5  t=2.96ms
        kが20度 v=343.5  t=2.91ms
       となる。20度の時50usでどのくらい音が進むのかというと17cmである。
        以上の事より温度差は余り気にしなくてよいと思う。
 (2)超音波センサによる測定方法
    超音波は(1)の速度で伝わる。
     よって超音波を発射してから反射して戻ってくるまでの時間を測れば
      超音波の送受波器から物体までの距離を知ることができる。(fig.1参照)
    例えば、音速を340m/s、超音波の往復時間をTsec.とすると目標までの距離dは、
       d=340xTx0.5 [m] 
    で計算することができる。
 (3)物体の表面の凹凸が大きい場合は超音波が乱反射するため検知しに くい。また、物体の正面からではなく斜めの方向から超音波が当たった場合 も反射波があさっての方向に行ってしまうために検知しにくい。

2.超音波センサについて
  *MIRSにおいて、障害物の検知・距離測定と自機座標の確認をするセ ンサが超音波センサである。MIRSで使用する超音波センサは反射方式( 独立型)を使用していて、40kHzの超音波で約20cmから2mまでの距離の測定 が可能である。また、精度は+−1cm。

  *超音波は、トランジューサから一定の広がりを持ってビーム状に発射される、そのビームの形状を超音波トランジューサの指向性と言う。
 市販されている超音波トランジューサの指向性は、それ程鋭くなく、半値角として 20°〜 30°程度の広がりを持つ。
 超音波センサの指向性が広いと、センサによって計測された対象物体の形はかなりボケたものになる。すなわち、超音波センサは、距離方向の分解能はよいが、横方向の分解能はよくない。この指向性を改善する方法として、トランジューサにホーンアンテナを取り付ける手段がある。アンテナには一般に指向性を鋭くすると同時に、中心方向のゲインをかせぐという利点がある。ただし、ホーンアンテナの設計を理論的に行なうことは難しいので、 ある程度の試行錯誤によってホーンの形を決める必要がある。

図8−1 紙性ホーンアンテナの例    
図8−1 紙性ホーンアンテナの例

図8−2 超音波の指向性    
図8−2 超音波の指向性

3.超音波センサの構成
 

  fig.2の構成による各部の波形の例がfig.3である。実際には反射波は物 体の形によりエコーして残るので、超音波センサ回路では反射波の先頭の部 分だけを検出してもっとも近いところからの反射時間を測るようになってい る。
  また、反射時間を測定するためにハードウェアタイマを用いずに、ソフ トウェアでタイマを構成することもできる。下図はソフトウェアタイマを用 いた場合の超音波センサ制御ルーチンの流れ図である。
  上の図で反射した後待ち時間をおいているのは超音波スピーカの振動が 減衰せずその漏れが受信回路に入って受信波を検出したように誤動作してし まうのを防ぐためである。

4.送受信回路の概要
   シーケンサーによるパルスをフォカプラを通して伝え、その情報(一 発パルス)とクロック(40kHz)とを合成して送信部から超音波を発射する。
   反射して戻ってきた超音波を送信部でキャッチし、コンパレーターを 通して近距離の不要な反射波をキャンセルし、超音波反射時間の情報をカウ ンタへ送る。(ブロック図参照)

 *ブロック図の各部分について

 1)フォトダイオード
   光エネルギーを電気エネルギーに変換するフォトダイオードは 半導体もPN接合部に光が当たると電位差が生じる。光源電力効果を利用した 光検出器(フォトセンサ)である。

 2)パルスと正弦波との合成
   下図のようにNANDゲートのAにパルスを、Bに正弦波(振動数 波)をいれてやるとCから合成されてでてくる。

  3)信号増幅部

  4)イコライザーアンプ

  5)微分回路
    電圧のDC分でカットするための回路
   IN60   :バイパスフィルタ
   C=1000p:パスフィルタ

 6)コンパレータ
   アナログ量の信号をデジタル化するための回路でスレッショル ドレベルを境にしてそれ以上ならHighレベル、以下ならLowレベルに2進化 している。コンパレータには2つの入力ピンがあって+と−またはREF、INV という記号がついている。
   +(REF)ピンの電圧が−(INV)ピンの電圧より大きければ出力は同極 性の方向(Highレベル)に振れ、−ピンの方が+ピンの電圧よりも大きいと 出力は逆極性の方向(Lowレベル)に振れる。出力の一部を入力に戻しポジ ティブフィードバックを行っている。
  39kオームの抵抗によってヒステリングスをつくっている。10uFのコ ンデンサはリップノイズをバイパスさせ、電流インピーダンスを下げている。

 7)時間パルス
5.68230との信号のやりとりについて
   4つある超音波センサのうちのどれを動かすかの選択は68230の PA0、PA1の2ビットを使って行われ、超音波送信トリガはH2から送 られる。また、超音波センサからの割り込み要求信号はH1から入力される。

6.超音波センサ利用上の注意
       1.壁にたいして斜めに入射した超音波は
        ほとんどもどってこない。
       2.受信機は、大きな増幅率をかせぐアナログ回路
        であり、回路の雑音に注意しなければならない。
       3.受信機はマイクロホンであるから、
        外部の音やシステム自体の機械的振動で
        誤動作する恐れがあるので受信機はゴム等を用いて、
        機械的振動が伝わらないように取り付ける。
       4.外部からの音響的な雑音に対しては、距離を 2 回測定して、
        その値が違っていたら再度センサを働か
        せるというようなソフトウェアによる対策が有効。
       5.続けて距離を測定する場合は、以前に発射した超音波に
        対する反射や残響が十分に減衰する時間
          (数 [ns] )をおいてから、次の超音波を発射する。
        7.超音波センサの定格と外観図
  超音波センサの定格
構造送信・受信専用
(R:受信用 S:送信用)
品名MA40B5R/S
特徴凡用・広帯域
公称周波数/TD>40kHz
感度−47dB以上
音圧112dB以上
指向性(半域全角)50°
静電容量2000pF
分解能
検知距離0.2〜6.0m