沼津高専 電子制御工学科
MIRS98基本設計書作成規定
MIRS98SF-CURR-0008
改訂記録
版数 作成日 作成者 承認 改訂内容
A01 1998.11.10 長澤 長澤 初版
B01 1999.1.28 長澤 長澤 状態遷移表の書き方を改訂

本ドキュメントについて

本ドキュメントは、MIRS98基本設計書の作成方法について規定するものである。基本設計とは、以下に述べる作業を言い、基本設計書に文書化することである。

「システム開発計画書に基づき、技術的実現性を調べるために文献調査(技術の現 状調査など)および試験研究(実験)を行う(フィジビリティー・スタディ)。さ らに、システムに盛り込むべき機能を最終的に決定するために、費用、開発期間な どを考慮した技術検討を行う(トレード・オフ・スタディ)。これらの技術検討に 基づき、最終的に実現可能な機能を決定し(機能設計)、それぞれの機能を実現す るサブシステムの構造(機能配分)を決定する。」

この文書は次の詳細設計を行う際の要求事項が記される。したがって、この文書には、分割されたサブシステムが、各々独立して作業を進めるために必要なすべての事項が記されていなければならない。
なお、この文書においては、”例”を標準字体で、”解説”をイタリック字体で記している。

目次

目次は必ず記載する。また、読みやすいように文書内リンクを設けることが望ましい。
  1. はじめに
  2. システム概要
  3. 諸元
       
    1. 外観
    2. 機能性能
  4. システムの動作規定
  5. ハードウェア構成
    1. システム構成ツリー
    2. エレクトロニクス回路構成/機能
    3. エレクトロニクス回路基板外形
    4. 保守交換単位
    5. ソフトウェアビジビリティ
  6. ソフトウェア構成
    1. リアルタイムモニタ
    2. タスク構成/機能
    3. 試験機能
  7. システム試験
    1. システム試験概要
    2. 規定走行試験
    3. 競技プログラム試験

はじめに

本仕様書はMIRS98競技規定に基づきMIRS98XXチームの作成する自立型小型知能ロボットの基本仕様を記述する。

システム概要

システムの構成、機能・性能、動作概要および特徴の概要を記載する。詳細は後に述べられるのでここでは細部にわたって述べる必要はなく、システムの全体像が把握できるような内容を簡潔に述べる。

ハードウェア

MIRS98XXシステムのハードウェアは標準MIRS(注1)に準ずる構成を有するが、MIRS98XX固有の機能を実現するためにいくつかの変更点がある。以下、標準MIRSと異なる点のみ述べる。

ソフトウェア

ソフトウェアは複数のイベントドリブン型のタスクからなり、割り込みおよびタスクの管理はリアルタイムモニタMIRX68Kを用いて実現する。

システムの動作

MIRS98XXシステムは、一回目の競技開始時に壁面に沿って競技場を一周し、ポストの存在位置のマップを作成する。その後、マップにもとづき、すべてのポストを周回する最短軌道を計算し、その軌道に沿って移動しながらポストのスイッチを押す。2回目の競技では、開始時に1回目の競技で得たマップ情報をもとに、軌道を決定する。

(注1)沼津高専電子制御工学科のMIRSカリキュラムにおいて開発された、68000プロセッサにより制御される2輪独立駆動の走行制御系と各種センサを搭載した、小型自律移動ロボットである。詳細はMIRSデータベースの 標準MIRS(現在作成中) に詳しく記載されている

諸元

システムとして必ず備えておかなければならない要件、例えば、形状、機能・性能などについて記述する。
     
  1. 外観
    図Xに本システムの外観を示す。
    図にはセンサ個数や外形、重心、車輪の取り付け位置および径、センサの取り付け位置等ソフトウェアの設計に必要なすべての要素が記されていなければならない。

    図X.MIRS98XX外観図
    ポストスクリプト形式頭脳winCAD形式

     
  2. 機能性能

システムの動作規定

システムが必ず実現しなければならない動作について記述する。
MIRS98XXシステムは、一回目の競技開始時に壁面に沿って競技場を一周し、超音波測距センサによりポストの存在位置のマップを作成する。マップ作成後、現在位置からのすべてのポストを周回する最短軌道を計算し、その軌道に沿って移動する。軌道は各ポストの周りを必ず一周するように設定しなければならない。移動中に左または右のセンサにより赤外線を検出したとき、赤外線の方向に向きを変え、前面のセンサで赤外線を補足しながら前進しスイッチを押下する。この後、前面のバンパタッチセンサがONでかつ赤外線が消失した場合、ポストを獲得したものとして、もとの軌道に復帰し次のポストに向かう。スイッチ押下時にポストのマップにスイッチの取り付け方向の情報を加える。2回目の競技では、開始時に1回目で得たマップをもとに、スイッチの取り付け方向の情報をも含めた最短軌道を計算し、その軌道に沿って移動しながらポストを獲得する。軌道のトレースは基本的にロータリエンコーダを使って自己位置を確認しながら行う。そのため、自己位置のずれを生ずる前進後退の切り替えや壁やポストとの接触が極力少なくなるように軌道を決定する。また、ポストのスイッチ押下時にタイヤの滑りが少なくなるように、できるだけ軟らかくスイッチを押すように制御する。

ハードウェア

組立順、保守の容易性、試験の単位を考慮してハードウェアを分割し、各部の機能を定義する。例えば、機構関連では筐体やシャシーおよびフレーム等の構成を明らかにしそれぞれの部位にどのような部品を搭載するかを決定する。エレクトロニクス関連では回路を基板単位に分割し、それぞれの機能および外形を決定する。ここで、基板の外形を決定しなければならないのは、機構関連の設計が本仕様書により独立して設計作業が進められるようにするためである。
  1. システム構成ツリー 下記にシステムの構成を示す。
    構成ツリーは、システムの構成品を体系的に表わしたツリー構造の図である。このツリーによって、設計順、組立単位、組立順、保守性、保守交換単位などが明確に表現される。 したがって、構成ツリーを決定することは、今後の作業に大きな影響を与えることになるので、充分に検討しなければならない。作成にあたり留意すべきことを下記に記す。
    1. 設計は基本的にツリーの上位から行われ、組立は下位から行こなわれる。
    2. 組立の順が狂ってはならない。とくに前段階で組み立てたものをその上の段階に組み立てるときに分解等の作業があってはならない。
    3. 保守交換単位は一つの枝で構成されなければならない。また、保守交換単位の交換時に、交換作業が容易に行なえるような構造でなければならない。つまり、システムをバラバラにしなければ交換できないような構造にしてはならない。授業では保守部品まで作成しないが、製造不良による故障が多発するので修理作業が容易に行える構造になるように心がける。
    4. 電子回路も機構もソフトもこのツリーに包含されていなければならない。
    5. 試験検査仕様書や取扱説明書をも含んでいなければならない。
    MIRSXXXX製造仕様書
    |-MIRSXXXX組立図
    ||-シャーシフレーム組立図
    |||-シャーシフレーム
    |||-モーターx2
    |||-モーター取付金具x2
    |||-可逆モータパワー変換ボード
    |||-タッチセンサ・ロータリエンコーダケーブル
    ||||- マイクロスイッチx2
    ||||- コネクタ類
    ||||- ケーブル類
    ||||- ケーブル検査仕様書
    |||-側面タッチセンサ左機構部
    |||-側面タッチセンサ右機構部
    |||-バンパ機構部
    |||-フォトインタラプタ回路基板
    |||-取り付けネジ類
    |||-シャーシフレーム試験仕様書
    ||-電子回路フレーム組立図
    |||-電子回路フレーム
    |||-ラック
    ||||-VMEラック
    ||||-CPUボード(VSBC1)
    ||||-IOボードアセンブリ
    |||||-IOボード(VIPC310)
    |||||-IPDigital48ボード
    |||||-ロータリエンコーダボード
    |||||-ジャンパ設定仕様書
    ||||-IOSubボード
    ||||-MMIボード
    ||||-VMEラックジャンパ設定仕様書
    |||-電源制御基板
    |||-超音波センサ
    |||-赤外線センサ
    |||-ケーブル接続図
    |||-取付金具
    |||-ネジ類
    ||-勝敗判定装置
    ||-ケーブル接続図
    ||-電池ホルダ
    ||-取付金具
    ||-ネジ類
    |-電池
    |-ソフトウェアインストール手順書
    ||-MIRSXXXX.X(プログラムファイル)
    |-MIRSXXXX試験仕様書
    |-MIRSXXXX取扱説明書
  2. エレクトロニクス回路構成/機能
    エレクトロニクス回路を機能ブロックに分割し、各ブロックの機能を定義する。また、各機能がどのような回路基板に搭載されるかを明記し、基板間のインターフェースを決める。インターフェースに関して、信号の論理仕様、電気的仕様、コネクタ形状、ピンアサインなどを決めておくのが望ましいが、機構の設計に支障が無ければ厳密に決めておかなくても良い。基板間のインタフェース仕様は、詳細設計仕様書で規定する。

    図X.MIRS98XXエレクトロニクス回路ブロック
    ポストスクリプト形式ワード図形式

    各部の機能
    1. CPU部
      ・・・
    2. 汎用入出力制御(PIT)部
      ・・・
    3. ロータリエンコーダ制御部
      ・・・
    4. フォトインタラプタ部
      フォトインタラプタの検出信号をTTLレベルに変換する。この信号は3つのタッチセンサの入力の一つに加えられる。
  3. エレクトロニクス回路基板外形
    回路基板の外形と取り付け穴位置、コネクタ位置、センサ取り付け位置などを図を用いて示す。この内容をもとに機構の設計を行うので、よく検討して後の変更が無いように作成しなければならない。
    1. 下記についてはVMEハーフハイト基板仕様に従う。
      • CPUボード(VSBC1)
      • IOボード(VIPC310)
      • IOSubボード
      • マンマシンインタフェースボード
    2. 下記についてはIOボード(VIPC310)インダストリパック仕様に従う。
      • IPボード(IPDigital48)
      • ロータリエンコーダボード
    3. 下記については標準MIRS基板を使用するのでMIRSデータベースを参照すること。
    4. 電源制御基板

      図X.電源制御基板外形図
      ポストスクリプト形式頭脳winCAD形式

    5. フォトインタラプタ基板

      図X.フォトインタラプタ基板外形図
      ポストスクリプト形式頭脳winCAD形式

  4. 保守交換単位
    保守交換単位を決定し、保守部品の名称・機能、交換に要する時間の見積もり、必要個数が記された一覧表を作成する。但し、授業では保守部品の作成まで行わない。故障した場合は修理して使用することになる。修理単位と考え欲しい。
    保守単位は、交換の容易性、交換部品の価格、故障率等を総合的に考えて決定しなければならない。
  5. ソフトウェアビジビリティ
    制御マイクロプロセッサから見たIOのアドレスとそのアドレスに書き込み読み出しデータおよび割り込み情報(ポート、レベル、ベクタ番号)を記載する。また、ソフトウェア開発時の制御方法の例や、注意事項をも記載することが望ましい。
    本システムのソフトウェアビジビリティは標準MIRSソフトウェアビジビリティ(現在作成中)の仕様と同一である。但し、各センサの位置とIOポートアドレスの対応は下表による。
    センサIO port Address/bit備考
    超音波センサ





    赤外線センサ右後

    右前

    左後

    左前

    前右

    前中

    前左

    タッチセンサ



    バンパタッチセンサ

ソフトウェア

  1. 動作モード
    システムの状態の定義と遷移条件を明らかにし、状態遷移図および状態遷移表を作成する。

    図X.状態遷移図
    ポストスクリプト形式ワード図形式

    状態遷移表は1行目に現在の状態、1列目に次の状態をとる。セルには上覧に状態が遷移する条件を/下欄に遷移の際に出力する事柄や受け渡し情報を記載する。X印は現在の状態からセルが示す次の状態に遷移することが絶対にないことを意味する。
    状態遷移表
    次の状態
    /現在の状態
    初期状態マップ作成状態ルートトレース状態赤外線検出状態・・
    初期状態(DIPSW=1)&&スタートスイッチ押下/-(DIPSW=2)&&スタートスイッチ押下/-
    マップ作成状態リセットSW押下/−マップ作成終了位置(X,Y)に到達/ポストマップ、ルートマップ作成保存
    ルートトレース状態リセットSW押下/−赤外線検出/現在位置(Xi,Yi)保存
    赤外線検出状態リセットSW押下/−赤外線検出なし/トレース開始位置を(Xi,Yi)に設定



    状態の定義

    1. 初期状態:電源投入、システムリセットの最初の状態。
    2. マップ作成状態:壁面に沿って移動しながら超音波センサでポスト位置を検出している状態。初期状態でスタートスイッチが押されたときにDIPSW=1(hex)(これは一回目の競技であることを示している。)であったときにこの状態に遷移する。壁を一周してこの状態が開始された位置に到達したときルートトレース状態に遷移する。
    3. ルートトレース状態:ルートマップにしたがって移動している状態。ロータリエンコーダで自己位置を検出しながらルートを逸脱しないように移動する。初期状態(DIPSW=2(2回目の競技))でスタートスイッチが押されたときと、マップ作成状態からこの状態に遷移する。赤外線を検出したときやタッチセンサが反応したときは・・・・状態XXに遷移する。
    4. 赤外線検出状態:赤外線の方向に前進している状態。この状態はバンパタッチセンサが接触を感知するまで、継続する。赤外線を見失ったときには・・・
  2. リアルタイムモニタ
    MIRS用に開発されたMIRX68Kを使用する。
    MIRX68K user's manual(現在作成中)
  3. タスク構成/機能
    実現すべき機能をタスクに分割し、タスクの機能を定義する。詳細は詳細設計で決定するので、ここではタスクの機能の概略を記す。

    図X.タスク構成図
    ポストスクリプト形式ワード図形式

    1. 低レベルタスク
      • task00:マンマシンインタフェースタスク
        BB(タスク間情報の受け渡しに用いる掲示板)に書かれているセンサ情報やシステムの状態をLEDに表示する。またDIPスイッチの状態をBBにに書き込む。このタスクはタイマにより一定時間ごとに起動される。
      • task01:超音波センサタスク
        3つの超音波を順に動作させ距離情報をBBに書き込む。この戸タスクは電源投入時に起動され、常時測定を行っている。超音波発信したのち、タスクは開放され割り込み待ちになる。
        注)超音波受信もしくはタイムアウトにより再起動され距離を計算する。したがって常時計測を行っていてもこのタスクがCPUを占有することはない。
      • task02:自己位置検出タスク
        一定時間ごとに起動され、ロータリエンコーダの値から自己位置のx、y座標と姿勢角をBBに書き込む。
      • task03:赤外線センサタスク
        赤外線センサ割り込みが入るごとに、センサ状態を読み取りBBに書き込む。
      • task04:PWMモータ駆動タスク
        タスク起動時に受け渡される引数によって指定される左右車輪の速度データをPWM回路に書き込む。
    2. 高レベルタスク
      • task06:赤外線接近タスク
        3つの前方の赤外線センサのうち中央のセンサが常に赤外線を捉えるように車輪回転数を制御しながら前進する。
      • task07:接触回避タスク
        ・・・
      • task08:軌道トレースタスク
        ・・・
      • task09:試験走行タスク
        ・・・
    3. メインタスク      
      • task05:行動計画タスク
        ・・・
  4. マンマシンインターフェース
    マンマシンインタフェースとして以下の機能を具備すること。
  5. 試験機能
    下記の試験機能を有する。

システム試験

  1. システム試験概要
    システム試験はシステムの組立が完了した段階で、基本設計書の内容に適合しているかどうかを試験する。システム試験を実施する際には、各サブシステムで規定されるサブシステム試験に合格していなければならない。
    回路基板単体の試験やソフトウェア単体の試験項目はここには挙げない。それらはサブシステムレベルで行われる。またこれをもとにシステム試験使用者が
    試験は以下の項目について行われる。
  2. 試験内容
    下記仕様書による。
    MIR98XXシステム試験仕様書
    システム試験仕様書の作成はMIR98システム試験仕様書作成規定に従うこと。
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