沼津高専 電子制御工学科
超音波センサ
調査資料
MIRS9803-TECH-0002
改訂記録
版数 作成日 作成者 承認 改訂内容 提出先
A02 1998.12.22 山本

超音波センサの調査結果

  1. 超音波の性質

  2. 超音波の指向制と反射特性
    超音波は、トランジューサから一定の広がりを持ってビーム状に発射される、そのビームの形状
    を超音波トランジューサの指向性と言う。市販されている超音波トランジューサの指向性は、それ
    程鋭くなく、半値角として 20°〜 30°程度の広がりを持つ。
      超音波センサの指向性が広いと、センサによって計測された対象物体の形はかなりボケたもの
    になる。すなわち、超音波センサは、距離方向の分解能はよいが、横方向の分解能はよくない。
    この指向性を改善する方法として、トランジューサにホーンアンテナを取り付ける手段がある。アン
    テナには一般に指向性を鋭くすると同時に、中心方向のゲインをかせぐという利点がある。ただし、
    ホーンアンテナの設計を理論的に行なうことは難しいので、ある程度の試行錯誤によってホーンの
    形を決める必要がある。
      超音波センサには電気信号を超音波に変えて空気中に発射する超音波スピーカ(送波器)部
    と、空気中を伝搬してきた超音波を受けてそれを電気信号に変える超音波マイクロホン(受波
    器)部とがある。この両者をあわせて超音波トランスジューサーという。
      超音波トランスジューサーのように電気信号を機械的振動に変えたりその逆をする電気−振動
    変換素子は、原理的には一つの素子が送波器にも受波器にもはたらかせることが出来る。しか
    し送波と受波では空気の振動振幅が大幅に異なり、またインピーダンスを変えた方が効率がい
    いので実際はほとんど送波器、受波器で別個の素子を用いている。
      超音波のような波が対象物に当たった場合、対象物が凹凸のある表面を持っていたとするなら
    ば、超音波は散乱しあらゆる方向に反射波が進んでいく。しかし鏡面を持っていたとすると入射
    角と反射角の関係から反射波は反射角の方向にしか観測されない。センサに対して斜めの鏡
    面は観測されにくいと思われる。まして相手 MIRS を検出するのはさらに難しいであろう。試作品
    を製作し、実験をする必要があると思われる。超音波にとってどの程度までが散乱面なのかは波
    長 λ から知ることが出来る。以下にその関係式を示す。

    (式)
       v = λ f

    ここで 20 ℃の空気中の音の伝搬速度を求めると、

      v = 343.5

    超音波の周波数を 40 KHz として波長 λ を求める。

    (式)
      λ = v ÷ f = 343.5÷ 40 K = 8.6 [mm]

    以上の結果により、対象物の凹凸が約 8.6 [mm] 以上の場合には散乱面とみなされる。


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