沼津高専 電子制御工学科
MIRS9802基本設計書
MIRS9802-DSGN-0002
改訂記録
版数 作成日 作成者 承認 改訂内容
A01 1999.2.1 村木 川端 初版

目次

  • 1.はじめに
  • 2.システム概要
  • 3.諸元
  •  
  • 3.1外観
  • 3.2機能性能
  • 4.システムの動作規定
  • 5.ハードウェア構成
  • 5.1システム構成ツリー
  • 5.2エレクトロニクス回路構成/機能
  • 5.3エレクトロニクス回路基板外形
  • 5.4保守交換単位
  • 5.5ソフトウェアビジビリティ
  • 6ソフトウェア構成
  • 6.1リアルタイムモニタ
  • 6.2タスク構成/機能
  • 6.3試験機能
  • 6.4マンマシンインターフェース
  • 6.5試験機能
  • 7システム試験
  • 7.1システム試験概要
  • 7.2規定走行試験 
  • 1.はじめに

    本仕様書はMIRS98競技規定に基づきMIRS9802チームの作成する自立型小型知能ロボットの基本仕様を記述する。

    2.システム概要

    ハードウェア

    MIRS9802システムのハードウェアは標準MIRSに準ずる構成を有するが、MIRS9802固有の機能を実現するためにいくつかの変更点がある。以下、標準MIRSと異なる点のみ述べる。

    ソフトウェア構成

    ソフトウェアは複数のイベントドリブン型のタスクからなり、割り込みおよびタスクの管理はリアルタイムモニタMIRX68Kを用いて実現する。

    システムの動作

    MIRS9802システムは、所定のコースを進み、左右の超音波センサ及び赤外線センサ でポストを感知し、近づいてからスイッチを押す。この動作を繰り返し、ポストを全て獲得する。

    3.諸元

       
    1. 外観

    2. 図1に本システムの外観を示す。

      Post Script形式

      Post Script形式

      Post Script形式
      図1.MIRS9802外観図

       

    3. 機能性能
    4.  
    5. 電源制御機能

    6. 制御回路用の電源とモータ駆動用の電源は完全に分離されていなければならない。電源は以下のスイッチによりコントロールされる。  
    7. 電源

    8. 下記電池を制御回路用とモータ駆動用にそれぞれ1個づつ計2個使用する。

    4.システムの動作規定

    MIRS9802システムは、競技場の真ん中を進みながらポストを探策する(下図参照)。この時、左右の超音波センサ、8方向の赤外線センサ、前方に取り付けたタッチセンサの3種類のセンサを用いてポストを探す。どのセンサでポストを発見したかによって次の行動が決まる。

    探索ルート
    上の各センサでのポスト獲得で、赤外線センサによる獲得が一番確実で、なおかつポスト周回行動が不要で時間が短縮できるため、赤外線センサでの獲得に重点を置く。すなわち、ほかのモードにいるときに、赤外線センサに反応があったら、その赤外線が、今探しているポストのものであるかどうかに関わらず、そちらを優先する。

    5.ハードウェア構成

    1. システム構成ツリー 下記にシステムの構成を示す。

    2.  
      MIRS9802製造仕様書
      |- MIRS9802組立図
      | |- シャーシフレーム組立図
      | | |- シャーシフレーム
      | | |- モーターx2
      | | |- モーター取付金具x2
      | | |- 可逆モータパワー変換ボード
      | | |- タッチセンサ・ロータリエンコーダケーブル
      | | | |- マイクロスイッチx3
      | | | |- コネクタ類
      | | | |- ケーブル類
      | | | |- ケーブル検査仕様書
      | | |- 前面タッチセンサ左機構部
      | | |- 前面タッチセンサ右機構部
      | | |- バンパ機構部
      | | |- 取り付けネジ類
      | | |- シャーシフレーム試験仕様書
      | |- 電子回路フレーム組立図
      | | |- 電子回路フレーム
      | | |- ラック
      | | | |- VMEラック
      | | | |- CPUボード(VSBC1)
      | | | |- IOボードアセンブリ
      | | | | |- IOボード(VIPC310)
      | | | | |- IPDigital48ボード
      | | | | |- ロータリエンコーダボード
      | | | | |- ジャンパ設定仕様書
      | | | |- IOSubボード
      | | | |- MMIボード
      | | | |- VMEラックジャンパ設定仕様書
      | | |- 電源制御基板
      | | |- 超音波センサx4
      | | |- 赤外線センサx8
      | | |- ケーブル接続図
      | | |- 取付金具
      | | |- ネジ類
      | |- ケーブル接続図
      | |- 電池ホルダ
      | |- 取付金具
      | |- ネジ類
      |- 電池
      |- ソフトウェアインストール手順書
      | |- MIRS9802.X(プログラムファイル)
      |- MIRS9802試験仕様書
      |- MIRS9802取扱説明書 
    3. エレクトロニクス回路構成/機能

    4. 図2.MIRS9802エレクトロニクス回路ブロック

      各部の機能

      1. CPU部

      2. 以下の仕様のCPUボードを使用している。
      3. 名称 VSBC-1 Single Board(68HC000) Computer Module for the VMEbus
      4. CPU MC68HC000 クロック : 12.5MHz(16.7MHzに変更可能)
      5. RAM SRAM 256KB×2
      6. ROM EPROM 128KB
      7. 電源ボード

      8. エレクトロニクス回路用の5v電源、駆動用の12v電源を用意する。それぞれの電源は分離されている。
      9. 汎用入出力制御(PIT)部(VIPC310)

      10. VIPC310を使用する。このI/OボードはRS−232C端子を2個持っている。 また、INDUSTRY PACK を2個搭載することができ、ロータリーエンコーダボード、IP-Dig.48をそれぞれ搭載している。
      11. ロータリエンコーダ制御部

      12. タイヤの回転数をパルスにして、回転子の回転数&速度の検出を行う。 仕組みはLEDの光を、スリットで通過、遮断させ、それを受光素子で検出後、信号にす る カウンタ回路はカウンタ(7bit)と方向判別(1bit)の両方を兼ね備えている。
      13. 超音波センサ回路

      14.  40kHzの超音波を使用して距離を測定する。約20cm〜2mまでの 距離の測定が可能。精度は±1cm(対象物にほとんど凹凸が無い場合)  68230からの測定要求パルスを受けて超音波を発信し、受波をシュミ ットトリガ出力(STOP信号)に直してタイマへ送る。  超音波センサが複数ある場合の選択信号は68230のPA1、PA0から、測 定要求パルスはH2からそれぞれ出力される。また、割込み要求信号はH1から入 力される。
      15. 赤外線センサ回路部

      16. 8つのセンサを使って、ポストから発信される赤外線を受信し、ポストの位置 や、スイッチの位置を特定する。 センサからの信号(8つ)は、先ず同期回路を通る。同期回路を通った信号は、 68230のPC0からPC7に入る。また、同期回路から信号が出ると割り込み信号を 発生し、その信号は68230のH1に入る。
      17. pwm回路部

      18. ロータリーエンコーダのデータと与えた速度データを比較し、モータに与えるパルスを 正確な速度になるように調節する。
      19. タッチセンサ回路部

      20.  タッチセンサは、バンパ型タッチセンサによりマイクロスイッチ(omronSS-5GL) が押されるようにし、そのON,OFFをロータリーエンコーダへ知らせる機能を持つ。  タッチセンサ信号処理回路は、タッチセンサの信号からスイッチ割り込みの割り 込み要求をおこなう。回路は、タッチセンサのチャタリング防止回路と割り込み信 号発生回路、タッチセンサステータス出力回路、割り込みVECTOR発生回路から成 る。
      21. モータ制御部(Moter Power Circuit)

      22. DCモーターは一般に言う直流モーターのことであり直流電源でまわる。大きな起動トル ク、出力効率の良さ が特徴。PWM制御からのパルスによってエネルギーを得る。このパルス幅を変調するこ とによって、 結果的にモーターへの供給エネルギーを調整することが出来る。この制御法は、電力パル スがオンの時だけ モーター電流を流す。また、パルスのデューティー比を変えることによって、モーターの 回転数が変わる。
      23. MMIインターフェース部(Man-Machine Interface Board)

      24. MIRS競技や試験において必要な情報の表示と入力を行う。7セグメントLEDx4、 赤、緑LED、4ビットロータリーディップスイッチ、押しボタンスイッチを備える。
    5. エレクトロニクス回路基板外形
      1. 下記についてはVMEハーフハイト基板仕様に従う。
      2. 下記についてはIOボード(VIPC310)インダストリパック仕様に従う。
      3. 下記については標準MIRS基板を使用するのでMIRSデータベースを参照すること。
      4. 注:電源制御基板については、今まで勝敗判定装置として使用していた部分を、強制停止装置として使用する。また、赤外線LED回路は取り付けない。
    6. 保守交換単位
    7. ソフトウェアビジビリティ 本システムのソフトウェアビジビリティは標準MIRSソフトウェアビジビリティ(現在作成中)の仕様と同一である。但し、各センサの位置とIOポートアドレスの対応は下表による。
    8. センサ IO port Address/bit 備考
      超音波センサ FC6151/00
      FC6151/01
      FC6151/10
      FC6151/11
      赤外線センサ      FC6157/0bit(LSB)
      左前 FC6157/1bit
      右前 FC6157/2bit
      FC6157/3bit
      FC6157/4bit
      FC6157/5bit
      左後 FC6157/6bit
      右後 FC6157/7bit(MSB)
      タッチセンサ 前右 fc6003 or fc6007 
      データ構造
      6bit...左
      5bit...右
      4bit...中
      前中
      前左
    注:超音波センサはセンサ選択のアドレスを記載してある。 実際に読み出す場合は、FC616F,FC6171,FC6173の値を読み込む。

    6.ソフトウェア構成

    1. 動作モード


    2. post script形式

      状態遷移表
      A 初期状態 B 初期動作 C 移動 D 超音波接近 E ポスト周回 F ポスト回避 G 赤外線接近 H 位置復帰
      A 初期状態 - スタートスイッチが押された& Dipスイッチが本選モード
      /
      ディップスイッチのデータ
      * * * * * *
      B 初期動作 * - 初期位置着 * * * 赤外線をキャッチ
      /
      現在のモード
      *
      C 移動 * * - 左or右に超音波でポスト発見 未獲得のポストに衝突 獲得済みのポストに衝突 赤外線をキャッチ
      /
      現在のモード
      *
      D 超音波接近 * * * - ロータリーエンコーダでポストに到着した事を確認 * 赤外線キャッチ
      /
      現在のモード
      *
      E ポスト周回 * * * * - * 赤外線キャッチ
      /
      現在のモード
      *
      F ポスト回避 * * 回避終了 * * - 赤外線キャッチ
      /
      現在のモード
      *
      G 赤外線接近 * * 見失った(各モードへ戻る) - 見失った
      H 位置復帰 * * 移動終了 * * * 赤外線キャッチ
      /
      現在のモード
      -

      状態の定義

      1. A 初期状態:電源投入、システムリセットの最初の状態
      2. B 初期動作:下図のような後ろが壁から30cm、左右が壁から125cmの場所へ移動する。

      3. C 移動モード:スタート位置を起点として、競技場内を上下左右に往復運動させて 左右に取り付けてある超音波、赤外線の各センサを使ってポストを見つける。 (下図参照)

      4. D 超音波接近モード:位置を記憶してから、左右90度回転し、超音波を使って距離を測りながらポストへ進む。(このモードに入る前の位置を記憶しておく。)
      5. E ポスト周回モード:ロータリーエンコーダの値を元にポストを周回する。 その際ポストにぶつかったら軌道を修正する。
      6. F ポスト回避モード:ポストの反対側にでるようにポストをさけながら進む。その際、ポストの右側または中央に当たったら右を、左に当たったら左を通る。
      7. G 赤外線接近モード:位置を記憶してから、赤外線を感知した方向に回転し、赤外線を使い、ポストへ向かう。(他のモードからこのモードになるときに位置を記憶しておく。)
      8. H 位置復帰:記憶しておいた位置へ戻る。
    3. リアルタイムモニタ

    4. MIRS用に開発されたMIRX68Kを使用する。
    5. タスク構成/機能
    6. タスク構成図
      1. 低レベルタスク
      2. 高レベルタスク
    7. マンマシンインターフェース

    8. マンマシンインタフェースとして以下の機能を具備すること。
    9. 試験機能

    10. 下記の試験機能を有する。

    7.システム試験

    1. システム試験概要

    2. システム試験はシステムの組立が完了した段階で、基本設計書の内容に適合しているかどうかを試験する。システム試験を実施する際には、各サブシステムで規定されるサブシステム試験に合格していなければならない。試験は以下の項目について行われる。
    3. 試験内容

    4. 下記仕様書による。
      MIR9802システム試験仕様書
    関連文書