名称 MIRS1803 標準機製作報告書
番号 MIRS1803-REPT-0003

版数 最終更新日 作成者 承認者 改訂記事
A01 2018.06.05 鈴木慧人 初版
A02 2018.06.08 鈴木慧人 第2版
A03 2018.06.11 鈴木慧人 大沼先生 第3版

ドキュメント内目次



1. はじめに

本ドキュメントは,平成30年 5月17日に行われたMIRS1803の統合試験までの作業報告書である.
また, MIRS1803 標準機製作報告会プレゼン資料より平成30年 6月8日の報告会で使用した資料を閲覧できる.

2. 製作手順

2.1 Arduino製作手順

MIRSMG4D-SYST-0003 Arduino のセットアップとデバイス接続に従い,ユニバーサル基板実装を行った.
使用したピンをTable.1に示す.
完成した基板の部品面をFig.1,はんだ面をFig.2に示す.
また,Fig.1には赤字でピンの名前を示す.

Table.1 使用ピン一覧
ピン番号 接続デバイス IN/OUT 備考
2 左エンコーダ(A層) IN プルアップ,割り込み(CHANGE)
3 右エンコーダ(A層) IN プルアップ,割り込み(CHANGE)
4 左エンコーダ(B層) IN プルアップ
7 右エンコーダ(B層) IN プルアップ
8 左モータ(DIR) OUT
9 右モータ(PWM) OUT PWM
11 左モータ(PWM) OUT PWM
12 左モータ(DIR) OUT
A5(19) バッテリー電圧 IN 抵抗分圧により1/2倍値を入力

Fig.1  Arduino UNO用ユニバーサル基板(部品面)
Fig.1 Arduino UNO用ユニバーサル基板(部品面)

Fig.2  Arduino UNO用ユニバーサル基板(はんだ面)
Fig.2 Arduino UNO用ユニバーサル基板(はんだ面)

2.2 Raspberry Piの製作手順

MIRSMG4D-SYT-0004 Raspberry Pi のセットアップとデバイス接続に従い,ユニバーサル基板に20ピン×2列のピンソケット,信号線,ハウジング,ICソケットの基板実装を行った.
また完成した基板の部品面をFig.3に,はんだ面をFig.4に示す.


Fig.5 Raspberry Pi用ユニバーサル基板(部品面)
Fig.3 Raspberry Pi用ユニバーサル基板(部品面)

Fig.6 Raspberry Pi用ユニバーサル基板(はんだ面)
Fig.4 Raspberry Pi用ユニバーサル基板(はんだ面)

2.3 電源ボード・ケーブル製作

完成した電源ボードの部品面をFig.5に,はんだ面をFig.6に示す.


Fig.5 電源ボード(部品面)
Fig.5 電源ボード(部品面)

Fig.6 電源ボード(はんだ面)
Fig.6 電源ボード基板(はんだ面)

2.4 バッテリーホルダー製作手順

SolidWorksを使用してバッテリーホルダーを作成した.
ここでは制御用バッテリーホルダーと駆動用バッテリーホルダーの2つを作成した.
制御用バッテリーホルダーについて作成した製品をFig.7に,製品の図面をFig.8に示す.
駆動用バッテリーホルダーについて作成した製品をFig.9に,製品の図面をFig.10に示す.

Fig.7 駆動用バッテリーホルダー
Fig.7 駆動用バッテリーホルダー

Fig.8 駆動用バッテリーホルダーの図面
Fig.8 駆動用バッテリーホルダーの図面


駆動用バッテリーホルダー作成にあたり製品の角には丸みを帯びさせ安全面を考慮し,
支える面を長く設計することで落下しにくくした.
また,製品作成にあたりバッテリーの寸法ミスにより2回作成に失敗した.
また,この駆動用バッテリーはGFORCE 7.2V NiMH SPORT PACKを使用した.

Fig.9 制御用バッテリーホルダー
Fig.9 制御用バッテリーホルダー

Fig.10 制御用バッテリーホルダーの図面
Fig.10 制御用バッテリーホルダーの図面

制御用バッテリーホルダー作成にあたりバッテリー全体を囲む形状にすることでバッテリーが落下しにくいようにし,
側面を橋脚状にすることで空洞を設け,熱が篭らないような形状にした.
また,この制御用のバッテリーはSONY CP-F10LAを使用した.

2.5 標準機組み立て手順

標準機の組み立ては,
MIRSMG4D-MECH-0003 MIRSMG4D 標準機組み立て手順書に従い行った.

また,標準機のメカニクスの解説については,
MIRSMG4D-MECH-0001 MIRSMG4D標準機メカニクス解説を参照し,
標準機のメカニクスの詳細設計書については,
MIRSMG4D-MECH-0002 MIRSMG4D 標準機メカニクス詳細設計書を参照した.

使用部品をtable.2に示す.
また,使用したねじをTable.3に示す.
                   
Table.2 部品一覧
名称部品コード 個数 材質 備考
上段シャーシ MIRGMG4S_UC 1枚 アクリル板拡張部
中段シャーシ MIRGMG4S_MC 1枚 アクリル板制御部
下段シャーシ MIRGMG4S_LC 1枚 アルミ板 駆動部・標準のものには電源ボード固定穴がないので注意
短支柱 MIRGMG4S_SP 4本 アクリル棒下段・中段接続用
長支柱 MIRGMG4S_LP 4本 アルミ棒下段・上段接続用
タイヤホイール MIRGMG4S_TW 2個 ABS樹脂
モータマウント MIRGMG4S_MM 2個 ABS樹脂
モータマウントサポート MIRGMG4S_MS 2個 ABS樹脂
制御用バッテリーホルダー MIRGMG4S_CH 1個 ABS樹脂
駆動用バッテリーホルダー MIRGMG4S_DH 4個 ABS樹脂
超音波センサマウント MIRGMG4S_UM 2個 ABS樹脂 オプション
                                                                                      
Table.3 使用したねじ
名称用途 長さ[mm] 個数 SWの有無ナットの有無
5mmキャップボルト モータマウント固定 12 8
短支柱固定 12 8
長支柱固定 12 8
3mmねじ モータマウント固定 15 8
モータマウント固定 15 8
制御用バッテリーホルダ固定 12 8
超音波センサマウント固定 12 4
3mmねじ Arduino固定 12 4
モータドライバ固定 12 8
電源ボード固定 12 4
2.6mmねじ Raspberry Pi固定 30 4
キャスター固定 10 6
スペーサ Arduino固定 5 4
モータドライバ固定 5 8
電源ボード固定 5 4
Raspberry Pi固定 10 6


作業は手順書に従って行ったが,作業の過不足も補うため,以下①~④に実際の手順を示す.

①下段シャーシへの電源ボード固定穴加工
固定穴は元から空いていたため,加工の必要はなかった.


②タップ加工
タップ加工は元からされていたため,加工の必要はなかった.

③駆動部の組み立て
タイヤの中に細いタイヤ2本をセットし,タイヤホイールとタイヤを接続した.
モータマウントサポートをモータに通し,モータマウントとモータをM3のネジで固定した.
モータシャフトにタイヤホイールを固定した.

④組み立て
中段シャーシに超音波センサマウント(2個)と制御用バッテリーホルダ(4個)をM3ねじとナットで固定した.
モータマウント,モータマウントサポートを下段シャーシにM5のキャップボルトで固定した.
駆動用バッテリーホルダ(4個)をM3ねじとナットで固定した.
制御用バッテリホルダ(1個)をM3ねじとナットで固定した.
ボールキャスター(2個)をM2.6ねじとナットで固定した.
長支柱と短支柱を下段シャーシにM5キャップボルトで固定した.
中段シャーシと短支柱をM5キャップボルトで固定し,下段シャーシと接合した.

完成した機体をFig.11に示す.


  Fig.11 標準機機体
Fig.11 標準機機体



3. 単体試験結果

3.1 Arduino

Arduinoの単体試験は MIRSMG4D-SYST-0007 Arduino単体での動作試験の内容に沿って行った.
単体機能試験の際に Arduinoの焼損の不具合が発生した.
この不具合改善後は単体試験が正常に行えた.
この試験内容と結果をTable.4に示す.
ただし,表内における評価は標準機の性能の確認の意味であり,誤差は今後のMIRS開発における目安となる値である.

Table.4 Arduino単体試験結果
試験内容 判定条件 試験者 結果 評価(良好・適・不適) 備考
モータ動作試験 モータのPWM値を与えた際,
モータが回転することを確認すること
磯合優汰
高橋凌
①左右のモータPWM値=100のとき
 モータが回転した
②左右のモータPWM値=50のとき
 ①の半分程度の速度でモータが回転した
③左右のモータPWM値=-100のとき
 ①と同じ速度で逆方向にモータが回転した
良好 回転の確認は目視で行った
エンコーダ試験 モータを手動で回転させた際,
エンコーダ値が増加することを確認すること
磯合優汰
高橋凌
表示されたエンコーダ値は増加した 良好
距離計試験 機体のタイヤを手動で1回転させた際,
エンコーダ値[cm]と実際のタイヤの円周の長さ[cm]を確認すること
磯合優汰
高橋凌
エンコーダ値は28.2~28.4[cm]
実際のタイヤの円周の長さは27.6[cm]
誤差1.4[%]:良好 実際のタイヤの円周は
直径をものさしで計測しその値に
3.14をかけて導出した
速度制御試験 モータの速度(V(m)[cm/s])を与えた際,右モータの平均速度(V(r)[cm/s]),
左モータの平均速度(V(l)[cm/s])と与えた速度を確認すること
磯合優汰
高橋凌
V(m)=100のときV(r)=95.959
V(m)=100のときV(l)=99.216
V(m)とV(r)の誤差4.04[%]:適
V(m)とV(l)の誤差0.78[%]:良好
計測は左右同時で
測定時間は10秒間
走行制御試験 直進速度(v[cm/s])と直進距離(x[cm])を与えた際,
x/vの値と動作時間(t[sec])を確認すること

角速度(ω[deg/s])と回転角度(θ[deg])を与えた際,
θ/ωの値と動作時間(t[s])を確認すること
磯合優汰
高橋凌
v=50,x=300のときt=6.56
ω=45,θ=360のときt=8.75
誤差9.33[%]:適
誤差9.38[%]:適
t[s]はスマホの
ストップウォッチ機能
で計測した
バッテリー値の確認 テスターで計測した駆動用のバッテリー電圧[V]と
表示された電圧[V]を確認すること
磯合優汰
高橋凌
表示された電圧は7.95[V]
テスターで測定した電圧は7.62[V]
誤差4.33[%]:良好

3.2 Raspberry Pi

Raspberry Piの単体試験は MIRSMG4D-SYST-0008 Raspberry Piでの動作試験の内容に沿って行った.
動作確認の際に,超音波センサの右側の値が表示されなかったが,これは配線の誤りが原因だった為,配線し直した.
その他は全て正常に動作した.
この試験内容と結果をTable.5に示す.
ただし,表内における評価は標準機の性能の確認の意味であり,誤差は今後のMIRS開発における目安となる値である.

Table5. Rspberry Pi単体試験結果
試験内容 判定条件 試験者 結果 評価(良好・適・不適) 備考
超音波センサ動作試験 超音波センサで測定した値[cm]と
実際の距離[cm]を確認すること
磯合優汰
高橋凌
センサで測定した値は実際の距離と比べ,
距離によらず常に約10[cm]長く表示される
また,センサの計測可能範囲は実測値で右が13.8~195.0[cm],左が14.0~265.0[cm]であった
良好 あらかじめ誤差が分かっていれば
誤差を考慮したプログラムを作成すればよい
USBカメラ動作試験 カメラが動作し,かつ映像が映ること 磯合優汰
高橋凌
ディスプレイ上に映像が映った 良好
USBカメラ画像キャプチャ実行試験 画像キャプチャが実行できること 磯合優汰
高橋凌
実行の数秒後にUSBカメラが動作しキャプチャが実行された 良好

4. 統合試験結果

標準機統合試験はMIRSMG4D-SYST-0009 標準機統合試験の内容に沿って行った.
このとき, モータの異常挙動が発生した.

動作試験内容と結果をTable.6に示し,ゲイン調整を行った後の機体の挙動の様子を以下のMov.1に示す.
ただし,表内における評価は標準機の性能の確認の意味であり,誤差は今後のMIRS開発における目安となる値である.

使用したモータのギア比は1:5である.
また,直進制御走行の Pゲイン(Ks)の値の幅は1.8~2.4とし,左モータに対する右モータの回転比は0.99とした.



Table.6 統合試験結果
試験内容 判定条件 試験者 結果 評価(良好・適・不適) 備考
直進走行試験 直進走行速度(v[cm/s])と走行距離(x[cm])を与え,
x/vの値と実際の走行時間(t[s])を確認すること
xと実際の走行距離(x'[cm])を確認すること
磯合優汰
高橋凌
v=50,x=300のときt=6.75
x'=288
誤差12.5[%]:良好
誤差4.0[%]:良好
tはスマホのストップウォッチ機能
で計測した
x'はメジャーで計測した
回転動作試験 回転速度(ω[deg/s])と回転角度(θ[deg])を与え,
θ/ωの値と実際の回転時間(t[s])を確認すること

θと実際の回転角度(θ'[deg])を確認すること
磯合優汰
高橋凌
ω=45,θ=360のときt=9.08
θ'=340
誤差13.5[%]:良好
誤差5.6[%]:良好
tはスマホのストップウォッチ機能
で計測した
θ'はスマホのアプリで計測した

Mov.1 標準機機体の挙動

5. 不具合報告

標準機部品作成から統合試験までに起きた不具合を以下に示す.

1. Arduinoの焼損
2. モータの異常挙動

また,上記不具合の対策として,今回作成したFig.1~Fig.6の基板に信号名のラベルを貼り付けた.
このラベルを貼り付けた基板を以下に示す.
Arduino UNO用ユニバーサル基板(ラベル付)をFig.12に,
Raspberry Pi用ユニバーサル基板(ラベル付)をFig.13に,
電源ボード(ラベル付)をFig.14に示す.

  Fig.12 Arduino UNO用ユニバーサル基板(ラベル付)
Fig.12 Arduino UNO用ユニバーサル基板(ラベル付)

  Fig.13 Raspberry Pi用ユニバーサル基板(ラベル付)
Fig.13 Raspberry Pi用ユニバーサル基板(ラベル付)

  Fig.14 電源ボード(ラベル付)
Fig.14 電源ボード(ラベル付)




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