沼津高専 電子制御工学科

 

開発完了報告書

 

MIRS0502-DSGN-0006

改訂記録

版数

作成日

作成者

承認

改訂内容

A27

2006.2.10

天野

天野

初版

 

目次

 

  1. はじめに
  2. 開発過程
  3. 結果
    1. プレ競技会
    2. 競技会
  4. 製作費
  5. 作業工数分析、人件費の算出、およびMIRS開発費
  6. 問題点の発生と分析
    1. メカニクス
    2. エレクトロニクス
    3. ソフトウェア
  7. まとめ

 


1.   はじめに


これはMIRS0502の開発完了報告であり、これまでの作業過程、作業工数、競技会の結果を示したものである。

 


2.   開発過程


以下に開発計画と対比させた開発過程を示す。

開発項目

開始(計画)

開始(作業)

 

終了(計画)

終了(作業)

ドキュメント作成(メカ)

2005/9/9

2005/9/9

 

2005/11/14

2005/10/28

ドキュメント作成(エレキ)

2005/9/9

2005/9/9

 

--

--

ドキュメント作成(ソフト)

2005/9/9

2005/9/9

 

2005/10/20

2005/10/21

製造(メカ)

2005/10/21

2005/10/21

 

2005/11/14

2005/10/31

製造(エレキ)

--

--

 

--

--

製造(ソフト)

2005/10/21

2005/10/21

 

2005/11/18

2005/11/21

改善・調整(メカ)

--

--

 

--

--

改善・調整(エレキ)

2005/10/21

2005/10/21

 

2005/11/14

2005/11/14

改善・調整(ソフト)

2005/11/18

2005/11/18

 

2005/12/26

2006/1/15   

最終調整・改良(メカ)

--

--

 

--

--

最終調整・改良(エレキ)

--

--

 

--

--

最終調整・改良(ソフト)

2006年1月

2006/1/16

 

2006/2/3

2006/2/3


開発過程をまとめてみると、ほぼ、計画どおりに製造が進められたことが分かった。

 


3.   結果

 

競技会

2006/2/3(MIRS2005 競技会)MIRS2005 競技会のポスト数は5つでした。

 

試技

1回目

2回目

合計

順位

 

獲得順序 (獲得ポイント)

タイム

獲得順序 (獲得ポイント)

タイム

獲得順序 (獲得ポイント)

タイム

獲得ポイント

タイム

2班

3 point

3分00秒

0 point

6分00秒

6 point

4分00秒

6

10分00秒

1

 


4.   製作費

 

次にMIRS標準機にかかる値段は303,452円

今回標準機に追加した部品と、その値段を下に示す。

発注部品

必要な材料

寸法・規格・型番

数量

単価

合計

バンパ

アクリル板

厚さ3mm×250×130(mm)[112×57(mm)×4枚]

1

 

 

蝶番

 

2.5×2.2(mm) M3 4つ穴蝶番

2

 

 

赤外線センサ

 

IS1U60

2

300

600

3pin コネクタ

MOLEX5046-03A

2

36

72

片面フェノール基板

20×20mm以上

2

320

640

ボード取付金具

アルミ板

30×80×厚さ1mm

1

 

0

バッテリーボード

アクリル板

厚さ3mm×150×150(mm)以上[63×140mm×2枚]

1

 

0

ドーターボード

両面フェノール基板

32KR(Sunhayato)  200mm×150 mm以上

1

240

240

RS-フリップフロップ

74LS279

1

80

80

抵抗

330Ω

4

1

4

ラダー抵抗

1kΩ x 8

1

210

210

可変抵抗

100kΩ

1

85

85

積層セラミックコンデンサ

104

1

21

21

ジャンパコネクタ

20pin x 1

3

600

ジャンパコネクタ

14pin x 1

2

3pin コネクタ

MOLEX5046-03A

12

36

432

4pin コネクタ

MOLEX5046-04A

2

36

72

5pin コネクタ

MOLEX5046-05A

5

42

210

R1 to R4

抵抗

1KΩ

4

1

4

C1

電解コンデンサ

100μF/25V

1

80

80

C2

電解コンデンサ

10μF/25V

1

50

50

C3 to C6

積層セラミックコンデンサ

104

4

21

84

IC1,2

IC

PC9D10

2

290

580

IC3

IC

L298

1

241

241

IC4

低ドロップ3端子レギュレータ

TL78DL05S

1

100

100

D1 to D8

ダイオード

10D-1

8

40

320

CN1

コネクタ

5046-05A

1

100

100

CN2 to CN4

コネクタ

53259-0220

3

100

300

タイヤ

タイヤ

 

1

1350

1350

合計

 

 

 

 

 

6475

製作費=303,452円+6,475円=309,927円


5.   作業工数分析、人件費の算出、およびMIRS開発費

 

1.メカニクス

項目

広川

高橋

合計

001.調査・学習

60

1.5

61.5

002.システム提案・開発計画立案

3.5

0

3.5

003.基本設計

5.5

10

15.5

004.詳細設計

22.5

9.5

32

005.製造(コーディング)

30

24

54

006.サブシステム試験

2

0

2

007.システム試験

1     

5.5

6.5

008.改善設計

18.5

1.5

20

009.ドキュメント整備

4.5

3

7.5

010.ミーティング

3.5

0

3.5

011.その他

15.5

93.5

109

合計

166.5

148.5

315

 

2.エレクトロニクス

項目

天羽

小倉

エクスリヤ

合計

001.調査・学習

114.2

90

134.5

338.7

002.システム提案・開発計画立案

1.5

0

0

1.5

003.基本設計

1.5

0

0

1.5

004.詳細設計

0

0

0

0

005.製造(コーディング)

0

27.5

0

27.5

006.サブシステム試験

0

0

0

0

007.システム試験

13.5

0

0

13.5

008.改善設計

48.3

0

0

48.3

009.ドキュメント整備

0

0

0

0

010.ミーティング

0

0

0

0

011.その他

48.3

31.5

8.5

88.3

合計

179

149

148.5

476.5

 

3.ソフトウェア

項目

常盤

天野

田中

合計

001.調査・学習

36.5

119.5

93

249

002.システム提案・開発計画立案

0

1.5

6.5

8

003.基本設計

10.5

0

13

23.5

004.詳細設計

0

6

18

24

005.製造(コーディング)

73.5

41.5

17.5

132.5

006.サブシステム試験

21.5

2

12

35.5

007.システム試験

42

5

0

47

008.改善設計

21

9

48

78

009.ドキュメント整備

4.5

15

9

28.5

010.ミーティング

3

0

4.5

7.5

011.その他

4

46

43

93

合計

216.5

245.5

264.5

726.5

 

 

次に示す式で、人件費の算出を行った。なお、一人当たりの自給は800円とした。

人件費 =(全員の作業時間)×(一人当たりの時給 800円)

            = 1518[h]×800[円/h]=1,214,400円

 

開発費総計=製作費+人件費

309,927円+1,214,400円=1,522,327円

 


6.   問題点の発生と分析

 

.メカニクス

問題点

原因

解決策

既存の設計では中のボードを取りたいときに困難になってしまう。

初期設計時に気づかなかったため

設計自体に修正を加え、フレーム上部の部品を製造しなおした

ホワイトセンサボードをつけたために

超音波センサがそれに反応してしまった。

左右の超音波センサの幅が狭く、

ホワイトセンサボードに干渉していたため。

超音波センサの背面ボードを設計しなおし、

製作した

左右の超音波センサが同じ値を出さない。

中心からの距離が異なっていたため。

同上

車体が走行時にがたつく。

車体を支える前後のボールの高さが

合っていなかったため

スペーサを使って高さをそろえた。

 

.エレクトロニクス

問題点

原因

解決策

MIRS解体時におけるMPC回路の動作不良

原因はセンサ試験ケーブル(MIRSSTND-ASMY-0036参照)の設計ミス。

pinコネクタが逆についていたため配線がうまく合わず、MPC回路が動かなかった。

変換コネクタを作って間に合わせた。

MIRS解体時における超音波センサボードの

動作不良

原因はドータボードとFPGAボードの

接続部。

それぞれのボードがうまく接続されて

いなかった。

接続をボードが壊れない程度に力を

こめて行った。(接続ピン付近を中心に)

MIRS起動中に途中で止まってしまう

原因はファイルシステムの自動修復の

失敗。電源ボタンでいきなり電源を

落としたため起こった。

止まってしまった所で次の事を行った。

  1. 止まったところで、root の

                  パスワードを入れる。

  2. fsck -y /dev/hda1 とする。

  3. exit する。

これでもだめだったのでFLASHDISKを

交換した。(実質再セットアップ)

直進走行時に片輪だけ高速回転してしまい

直進しない

原因はロータリエンコーダのケーブル不良。

ケーブルがコネクタ付近で切れていたため

データをうまく伝達できていなかった。

ロータリエンコーダのケーブルは

エンコーダ側のコネクタが特殊だったため、

ドータボード側のコネクタのみ交換した。

 

.ソフトウェア

問題点

原因

解決策

周回運動において、予定した回転角と、

実際の回転がずれる。

パラメータ調整がうまくいかなかった。

始めに1周分の角度を測定し、それを1周分の角度として、比によってずれを修正した。

赤外線の反応がある位置から360°周回し、再び赤外線が反応したらとまるプログラムで、開始直後に停止してしまった。

開始と同時に赤外線を呼んでしまっていた。

始めの180°では赤外線を読まないように変更した。

制限時間内に全てのポストを獲得できない。

全体で時間がかかりすぎていた。

    ポスト番号確認の段階で、獲得すべきポストだと判明した時点で、すぐに獲得するように変更した。

        各動作にかける時間をそれぞれ調整しなおした。

        ポスト周回時に、周回距離の短いほうを通るようにした。

(例:270°右周回 → 90°左周回)

ポストの赤外線を探す際、正面で停止せず位置がずれる。

手前で赤外線を感知して止まって

しまっていた。

赤外線感知後、惰性で一定角進むようにした。

(一定角は繰り返し実験して求めた。)

すぐに例外処理(faile_safe)に移行してしまう。

予定外の動作が少しでもあると、どんな場合もすぐ例外処理に移行するようにプログラムしていた。

予定外の動作についても場合わけして、例外処理以外への分岐を組み込んだ。

 


7.   まとめ

メカニクス:

 Mirs0502初号機はメカニクス面では他のチームに比べて大きな変更点や追加する部品はなく、自分達はホワイトセンサボードの製作を中心に作業した。早い段階で機能や寸法などを決め、良いペースで詳細設計まで進められたと思う。全体の作業として、ソフトやパラメータ設定などが後から厄介になってくるため、早い段階でハード面を完成させられたことは大きなアドバンテージになったはずだ。しかし部品の詳細設計・製作に取り掛かったにもかかわらず大きな設計の変更を思いつき、再度振り出しに戻るなど困難なことが多かった。また、作業途中でタイヤやセンサなどの細かい部分も修正が加えられ、みんなの意見をダイレクトにマシンに反映させることができたと思う。このmirs製作を通じてモノの設計のいろはを少しではあるかもしれないが学ぶことができてとても良い体験になったと思う。

 

エレクトロニクス:

エレキはドータボードを作り直したり、まったく新しい回路を作ることがなく、作った基盤といえば超音波センサボードだけでした。しかし、その超音波センサが曲者で、なかなかうまく動作しませんでした。何度も導通チェックをし、素子をしらべ、オシロスコープを使って調べたのに原因がわからず困りましたが、可変抵抗に原因があるということがわかったのでその後はスムーズに作業を進めることができました。また、当初の予定ではLCDを搭載するはずでしたが、FPGAとの互換が芳しくなかったため搭載することができず残念でした。

 

ソフトウェア:

ソフトウェアはかなり作業量は多かった割には、中期開発段階までは比較的計画どおりに進んだと思う。しかし、実際に動かしてみたときに、予想以上に問題が多くて、細かいプログラム変更を再三することになり、結局、最終調整にかける時間が大幅に削られてしまったのがまずかった。

ただ、その分プログラム自体はかなり高い完成度まで持っていけたと思う。プログラムを動作ごとに細かく分けてモジュール化したことで、ひとつひとつの動作について試験をすることができ、ある箇所のデバッグをしている間に他の箇所のチェックを行うことができたというのがよかった。

 

マネージャー:

MIRS競技会が終わりましたが、振り返ってみるとまだ工夫できたところがあったのではないかと思います。もっと技術調査をやればよかったとか、プログラムでもこうすればよかったとか、まだまだやれること・改善の可能性がありました。

しかし、メカの改良や、高速動作対応のプログラムなど、つくづく良かったと思うことも多々あり、授業としてのMIRSの価値を肌で感じ取れました。

授業外作業の時間も長く、マネージャーとして班を引っ張っていくという責任もあり、負担はかなりありましたが、それ以上にたくさんのものを得られました。MIRSでマネージャーをやってよかったと思います。