沼津高専 電子制御工学科
MIRS2001基本設計書作成要綱
MIRS01SF-CURR-0009
改訂記録
版数 作成日 作成者 承認 改訂内容
A01 2002.1.24 川上 川上 初版(MIRS00SF-CURR-0009を改訂)
A02        

本ドキュメントについて

本ドキュメントは、MIRS01基本設計書の作成方法について規定するものである。基本設計とは、以下に述べる作業を言い、最終的に基本設計書としてまとめることである。 基本設計は以下の要素からなる。
  1. 技術調査技(フィジビリティスタディ)
    行動計画提案要求される機能の技術的実現性を調べるための、文献調 査(技術の現状調査など)および試験研究(実験)。
  2. システムに盛り込むべき機能とそれを実現するサブシステムの構造を決定し、 文書化する。
    機能設計と機能配分
    • フィジビリティスタディを踏まえて、MIRS に要求される機能を再度 明確にし、かつそれぞれの機能を実現するサブシステムの構造を決定 する。
    • 構造配分では、サブシステムの詳細設計を行う際の要求事項を明確に する。
    文書化(設計ドキュメントの作成)
    • 技術調査内容を文書化する。(技術調査報告書)
    • 機能設計と機能配分した内容を文書化する。(基本設計書)
      基本設計書には、分割されたサブシステムが、各々独立して作業を 進めるために必要なすべての事項が記されていなければならない。
    この文書においては、”例”を標準字体で、”解説”をイタリック字体で記している。

目次

目次は必ず記載する。また、読みやすいように文書内リンクを設けることが望ましい。
  1. はじめに
  2. システム概要
    1. ハードウェア
    2. ソフトウェア
    3. 競技会行動計画
  3. 諸元
       
    1. 外観
    2. 機能性能
  4. ハードウェア構成
    1. システム構成ツリー
    2. エレクトロニクス回路構成/機能
    3. エレクトロニクス回路基板外形
    4. 保守交換単位
    5. ソフトウェアビジビリティ
  5. ソフトウェア構成
    1. ATL-MIRS 標準 ライブラリ
    2. 動作モードとその遷移
    3. モジュール定義
    4. モードの構成要素
    5. 試験機能
  6. システム試験
    1. システム試験概要
    2. システム試験詳細

1 はじめに

本仕様書はMIRS2001競技規定に基づきMIRS01XXチームの作成する自立型小型知能ロボットの基本仕様を記述する。

2 システム概要

    システム基本構成・行動計画提案書に基づき、ハードウェア、OS、動作概要をを記載する。
    詳細は後に述べられるのでここでは細部にわたって述べる必要はなく、システムの全体像が把握できるような内容を簡潔に述べる。
  1. ハードウェア

    MIRS01XXシステムのハードウェアは標準MIRS(注1)に準ずる構成を有するが、MIRS01XX固有の機能を実現するためにいくつかの変更点がある。以下、標準MIRSと異なる点のみ述べる。(センサの数については現在"標準"は存在しないなので全て記すこと) (注1)標準 MIRS は、2000年度5年生卒研の ATL-MIRS プロジェクトで開発を行った。開発ドキュメントは MIRSATLM ドキュメント管理台帳 を参照のこと。

  2. ソフトウェア

    使用する OS、プログラムについて簡単に記載する。
    RT-Linux (Ver.2.3) を OS とし、Linux のユーザプロセスとして行動制御 プログラムを起動する。赤外センサ、タッチセンサからの入力は、行動制御 プログラムから、定期的にドライバーを呼び出すことにより監視する。 走行系の制御と超音波センサの制御は、RT タスクによって行い、RT-FIFO を 介して必要なデータ通信を行う。

    プログラムは、C 言語でコーディングする。

  3. 競技会行動計画
  4. 競技での行動計画の概要を記載する。詳細については、行動計画書に記載しているので、それへのリンクを張ればよい。
    1. 1回目の競技はあらかじめ決められたルート(壁から50cm内側に入ったところ)を走行する。2回目の競技は1回目の競技によってえられらポストデータから作成されたマップ上を走行する。
    2. 競技開始がどこの位置であっても必ずルートのスタート位置へ行く。
    3. 左の2つの超音波センサにより壁との距離を一定に保つ。
    4. 右の超音波センサ,またはタッチセンサポストを発見したら、それを獲得しにいく。また獲得モードのときは左の超音波センサでポストを発見する。
    5. ポストのスイッチを少し曲がって走行するだけで押せるくらい近くを回る。(スイッチの最も出っ張っている部分から約15mmのところ)
    6. スイッチはその近くを通るだけで押せるよう設計しプログラムする。(それでもとれない場合の方法は考えておくがそれは本当に無理なときのためである。)
    7. 障害物が壁であってもポストであっても回避できる。
    8. ルートへの復帰も最短ルートを取る。
    9. ポストの周りを回るとき、横滑りしない程度のスピードで回る。
    10. ポストとの接触、また急停止、その場回転など誤差が起こりやすい動作を減らし位置に誤差が出ないようにする。(対策:ポストや壁にぶつかるときはゆっくりぶつかる、急停止したらだいたいの誤差を補正する、大きく回るなど)
    11. 誤差の少なくなるようシステムを設計する。

    行動計画の詳細は、行動計画提案書に記載されている。

3 諸元

    システムの外観、機能・性能などについて記述する。
  1. 外観

    図1に本システムの外観を示す。
    図にはセンサ個数や外形、重心、車輪の取り付け位置および径、センサの取り付け位置等ソフトウェアの設計に必要なすべての要素が記されていなければならない。

    図1. MIRS01XX外観図
    ポストスクリプト形式頭脳winCAD形式

     
  2. 機能性能

4 ハードウェア構成

    組立順、保守の容易性、試験の単位を考慮してハードウェアを分割し、各部の機能を定義する。例えば、機構関連では筐体やシャシーおよびフレーム等の構成を明らかにしそれぞれの部位にどのような部品を搭載するかを決定する。エレクトロニクス関連では回路を基板単位に分割し、それぞれの機能および外形を決定する。ここで、基板の外形を決定しなければならないのは、機構関連の設計が本仕様書により独立して設計作業が進められるようにするためである。
  1. ハードウェア構成ツリー

    下記にハードウェアの構成を示す。

    構成ツリーは、ハードウェアの構成品を体系的に表わしたツリー構造の図である。このツリーによって、設計順、組立単位、組立順、保守性、保守交換単位などが明確に表現される。 したがって、構成ツリーを決定することは、今後の作業に大きな影響を与えることになるので、充分に検討しなければならない。作成にあたり留意すべきことを下記に記す。
    1. 設計は基本的にツリーの上位から行われ、組立は下位から行こなわれる。
    2. 組立の順が狂ってはならない。とくに前段階で組み立てたものをその上の段階に組み立てるときに分解等の作業があってはならない。
    3. 保守交換単位は一つの枝で構成されなければならない。また、保守交換単位の交換時に、交換作業が容易に行なえるような構造でなければならない。つまり、システムをバラバラにしなければ交換できないような構造にしてはならない。授業では保守部品まで作成しないが、製造不良による故障が多発するので修理作業が容易に行える構造になるように心がける。
    4. 電子回路も機構もソフトもこのツリーに包含されていなければならない。
    5. 試験検査仕様書や取扱説明書をも含んでいなければならない。
    MIRS01XX製造仕様書
    |-MIRS01XX組立図
    ||-シャーシフレーム組立図
    |||-シャーシフレーム
    |||-モーターx2
    |||-モーター取付金具x2
    |||-可逆モータパワー変換ボード
    |||-タッチセンサ・ロータリエンコーダケーブル
    ||||- マイクロスイッチx2
    ||||- コネクタ類
    ||||- ケーブル類
    ||||- ケーブル検査仕様書
    |||-側面タッチセンサ左機構部
    |||-側面タッチセンサ右機構部
    |||-バンパ機構部
    |||-フォトインタラプタ回路基板
    |||-取り付けネジ類
    |||-シャーシフレーム試験仕様書
    ||-電子回路フレーム組立図
    |||-電子回路フレーム
    |||-ISA ラック
    ||||-CPU ボード
    |||||-フラッシュディスク
    ||||-FPGAボード
    |||||-ドータボード
    ||||-テンキー
    ||||-液晶ディスプレイボード
    ||||-電源制御基板
    |||-ロータリエンコーダ
    |||-超音波センサボード
    ||||-超音波センサ
    |||-赤外線センサボード
    ||||-赤外線センサ
    |||-電子フレーム部ケーブル接続図
    ||||-コネクタ類
    ||||-ケーブル類
    ||||-ケーブル検査仕様書
    |||-取付金具
    |||-ネジ類
    ||-ケーブル接続図
    ||-電池ホルダ
    ||-取付金具
    ||-ネジ類
    |-電池
    |-ソフトウェア取り扱い説明書
    ||-ソフトウェアソースコード
    |-MIRS01XXシステム試験仕様書
    |-MIRS01XX取扱説明書

  2. エレクトロニクス回路構成/機能

    エレクトロニクス回路を機能ブロックに分割し、各ブロックの機能を定義する。また、各機能がどのような回路基板に搭載されるかを明記し、基板間のインターフェースを決める。インターフェースに関して、信号の論理仕様、電気的仕様、コネクタ形状、ピンアサインなどを決めておくのが望ましいが、機構の設計に支障が無ければ厳密に決めておかなくても良い。基板間のインタフェース仕様は、詳細設計仕様書で規定する。

    図2.MIRS98XXエレクトロニクス回路ブロック
    ポストスクリプト形式ワード図形式

    各部の機能
    1. CPU ボード部 (CPU)
      ・・・
    2. FPGA ボード部 (FPGA)
      ・・・
    3. ドータボード部 (DB)
      ・・・
    4. 液晶ディスプレイ部(LCD)
  3. エレクトロニクス回路基板外形

    回路基板の外形と取り付け穴位置、コネクタ位置、センサ取り付け位置などを図を用いて示す。この内容をもとに機構の設計を行うので、よく検討して後の変更が無いように作成しなければならない。
    1. 下記については標準MIRS基板を使用するので MIRS データベースを参照すること。

    2. ドータボード
      • FPGA の20pin ジャンパコネクに接続したとき、ISA ラックに収納可能なこと。
      • IO 接続がコネクタが ISA ラックの外に出て、ケーブルの取外しが容易であること。ただし、不必要にラックの外に飛び出さないこと。
      • ボード外形を図3に示す。

        図3. ドータボード外形図
        ポストスクリプト形式頭脳WinCAD形式

  4. ソフトウェアビジビリティ

    ソフトウェアビジビリティとは、ソフトウェア(プログラム)から見たとき、ハードウェアにどうアクセスするのかを示したものである。ここでは、マイクロプロセッサから見た IO デバイスの IO のアドレスや IRQ を記載する。
    本システムのソフトウェアビジビリティはATL-MIRSソフトウェアビジビリティ(暫定版)の仕様と同一である。

5 ソフトウェア

  1. ATL-MIRS 標準 ライブラリ

    ATL-MIRS用に開発された標準ライブラリを使用する。
    ATL-MIRS 標準 ライブラリユーザマニュアル(現在作成中)
    参考 MIRSATLM ソフトウェア仕様書

  2. 動作モードとその遷移

    システムの動作モードの定義とその遷移条件を明らかにし、 モード遷移図およびモード遷移表を作成する。
  3. モジュール定義

    基本的な動作をいくつか定義し、それを一つのプログラム群として定義する。これをモジュールと呼ぶことにする。ここでは、モジュールの定義とそのモジュールを構成するために必要な標準ライブラリの API を記述する。

  4. モードの構成要素

    それぞれの動作モードを構成するのに必要なモジュールと標準 API をモジュール毎に列挙する。
    1. ポスト探索モード
      超音波センサ API、赤外線センサ API、直進モジュール、回転モジュール、・・・
    2. 軌道トレースモード
      超音波センサ API、タッチセンサ API、PWM/エンコーダ API
    3. ポスト探索モード
      超音波センサ API、タッチセンサ API、直進モジュール、回転モジュール
    4. 試験走行タスク
      ・・・

6 システム試験

  1. システム試験概要

    システム試験はシステムの組立が完了した段階で、基本設計書の内容に適合しているかどうかを試験する。システム試験を実施する際には、各サブシステムで規定されるサブシステム試験に合格していなければならない。

    ここでは試験項目を挙げ、その概要を定義する。回路基板単体の試験やソフトウェア単体の試験項目はここには挙げない。それらはサブシステムレベルで行われる。
    試験は以下の項目について行われる。
  2. システム試験詳細

    システム試験の詳細は、下記の試験仕様書に記載される。
    MIR01XXシステム試験仕様書

    システム試験仕様書は、2002年8月までに作成すること。この時点では項目とその概要のみを決め、試験仕様書に関しては、ドキュメント番号を決め、リンクのみ張っておくこと。
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