沼津高専 電子制御工学科
MIRS0103 LCD技術調査報告書
MIRS0103-TECH-0009
改訂記録
版数
作成日
作成者
承認
改訂内容
A01
2002.02.08
坪内,渡辺
中村
初版

目次

  1. LCDとは
  2. 構造
      a.)直視型LCD(透過型)
      b.)反射型LCD
  3. MIRSで使用するLCDについて
      a.)概略図
      b.仕様
  4. 液晶ディスプレイ制御モジュール
      a.)LCD動作制御モジュール
      b.)データ制御モジュール
      c.)インターフェイス
      d.)表示機能

1.LCDとは

LCDとは液晶ディスプレイ(LCD=Liquid Crystal Display)の略で、液晶を使った文字や絵の表示装置全般をさす。近年、大型化,高精細化,カラー化が進み、ノート型パソコンのほとんどに使われるなど、フラットパネルディスプレイの中で最も広く利用されている。
LCDは、はじめ、反射型として開発されたが、カラー化の進展に伴って、現在はバックライトを設けた透過型が主流となっている。しかし、最近、消費電力,各積,重量の増大を招くバックライトを用いない反射型LCDが改めて脚光を浴びるようになり、中でも超薄型,高機能,低消費電力のディスプレイとして期待される反射型カラーLCDの開発が盛んに行われている。
MIRSではこのLCDパネルを使用しMIRSの状態を文字で表示します。今回のLCDは16文字2行です。

2.構造

ここではいろいろなタイプのLCDの構造をあげる。

a.)直視型LCD(透過型)

バックライトで後ろから照らし、カラーフィルタを通し画面を見る手法。
カラーフィルタとは、液晶カラーディスプレイをカラー表示にするため、液晶セル内に構成される部材の一つで顔料などが入った樹脂膜のことである。透明ガラス基盤に赤,緑,青の色の三原色パターンが規則正しく配列されるように形成する。

b.)反射型LCD

@後方散乱
液晶セルの外側に反射板がある。
長所:構造が簡単。
カラー液晶にはほとんど採用されていない。
      A前方散乱

      長所:視差がないために表示色が鮮やか。
          比較的簡単なセル構造。
      短所:表示のぼけ,低コントラスト。
          明るく見える視覚範囲が狭い。
           B内面散乱

            長所:視差がないために表示色が鮮やか。
               ぼけのないクリアな表示。
               明るく見える視覚範囲が広い。
            短所:複雑なセル構造。
なお、MIRSでは反射型のLCDを使用する。→詳細は下記参照。

3.MIRSで使用するLCDについて

a.)概略図

b.)仕様

概略仕様
品 名
SUNLIKE製液晶モジュール SC1602BS
外形寸法
W 85mm D 12.7mm H 30mm
電 源
5V,0.6mA
コネクタ
14ピンピンヘッダ型コネクタオス(半田付け)
販売元
秋月電子通商
価格
1,300円
内臓LSI
日立ドットマトリクスドライバ44780U
表示桁数
16文字×2行
表示機能
カーソル、文字反転、文字ブリング、表示オン・オフ可
IF
4ビット OR 8ビット
文字
5×7ビット 192種類 キャラジェネ8文字
論理文字位置(1行目)
1〜16文字目
論理文字位置(2行目)
41〜56文字目
絶対最大定格
電源電圧(Vcc−GND)
-0.3〜+7.0(V)
入力電圧
-0.3〜Vcc+0.3(V)
動作温度
-30〜+75(℃)
保存温度
-55〜+125(℃)

4.液晶ディスプレイ制御モジュール

FPGAボードの液晶ディスプレイ制御モジュールはLCDの制御を行うためのもので、FPGAボード内のFPGAチップに構成される。液晶ディスプレイ制御モジュールでは、以下のような機能構成を持つ。

a.)LCD動作制御モジュール

このモジュールはLCD(SC-1602BS)にデータを書きこみ・読み出しするのに必要なEnable信号、R/W信号を生成している。
具体的にはISA-BUSのIO制御信号をLCDの制御信号に変換し出力している。
ISA-BUS,LCDの信号に関するタイミングチャートを以下に示す。
詳細に関しては「HITACHI ドットマトリクス液晶表示コントローラドライバ(HD44780U)」の仕様書を参照のこと。


LCDモジュールタイミングチャート(Write) (
lcd_w.jpg)


LCDモジュールタイミングチャート(Read) (lcd_r.jpg)

b.)データ制御モジュール

このモジュールはISA-BUS−LCD間のデータの流れを制御している。
IOR,IOWの信号からR/W信号を作りだしその信号によりデータのRead,Writeの方向が決まる。
この回路ではスリーステートによりデータの方向を制御しており、信号がRの場合はLCD→ISA、Wの場合はISA→LCDの方向にデータが流れる仕組みになっている。

c.)インターフェース

液晶ディスプレイ制御モジュールのインターフェース
信号名
方 向
対 象
概 要
LCD_ADD0
IN ISA-BUS lcd制御モジュール選択信号
LCD_ADD1
IN ISA-BUS RS信号
B_RESET
IN ISA-BUS ISA-BUSのRESET信号
B_IOR
IN ISA-BUS ISA-BUSのIOR信号
B_IOW
IN ISA-BUS ISA-BUSのIOW信号
CLK
IN ISA-BUS Clock
E
OUT LCD Enable信号
R/W
OUT LCD R/W信号
B_SD0〜B_SD15
INOUT ISA-BUS データ信号
DB0〜DB15
INOUT LCD データ信号

d.)表示機能

LCDでは文字を表示するためにJISコードを用いている。
下のJISコード表からもわかるようにISAバスから送られる8ビットのデータがそのままLCDに表示できるデータとなる。

参考文献
・MIRS0001のLCD技術調査
・MIRSATLM 液晶ディスプレイ制御モジュール取扱い説明書
・MIRSATLM LCDデバイスドライバ取扱説明書