沼津高専 電子制御工学科
MIRS0103基本設計書
MIRS0103-DSGN-0003
改訂記録
版数 作成日 作成者 承認 改訂内容
A01 2002.1.15 全員 中村初版
A02 2002.2.07 中村,渡辺 中村細部の修正
B01 2003.01.22 渡辺 中村搭載センサ・タイヤの変更による行動修正
B02 2003.02.13 山本 中村動作の変更による修正

目次

  1. はじめに
  2. システム概要
    1. ハードウェア
    2. ソフトウェア
    3. 競技会行動計画
  3. MIRS本体構成
    1. 外観
    2. 機能性能
  4. ハードウェア構成
    1. システム構成ツリー
    2. エレクトロニクス回路構成/機能
    3. エレクトロニクス回路基板外形
    4. ソフトウェアビジビリティ
  5. ソフトウェア構成
    1. ATL-MIRS 標準 ライブラリ
    2. 動作モードとその遷移
  6. システム試験
    1. システム試験概要
    2. システム試験詳細

1 はじめに

本仕様書はMIRS2001競技規定に基づきMIRS0103チームの作成する自立型小型知能ロボットの基本仕様を記述する。

2 システム概要

  1. ハードウェア

    MIRS0103システムのハードウェアは、標準MIRS(注1)とは仕様が大きく異なっている。そのなかでも、特徴的な点を以下にのべる。

  2. ソフトウェア

    RT-Linux (Ver.2.3) を OS とし、Linux のユーザプロセスとして行動制御プログラムを起動する。
    赤外線センサ、タッチセンサからの入力は、行動制御プログラムから、定期的にドライバを呼び出すことにより監視する。
    走行系の制御と超音波センサの制御は、RTータスクによって行い、RT-FIFO を介して必要なデータ通信を行う。

    プログラムは、C 言語でコーディングする。  
    MIRSの移動量は、LinuxのAPIをコールすることにより検出する。

  3. 競技会行動計画

    1. 1度目の競技では、スタート位置から、正面に向かって移動する。その間、超音波センサによるポスト探索を行う。
    2. ポストを発見したら、即座に獲得モードへと移行するが、この時目標ポストでなかった場合は、
      その位置と番号を記憶し、通常探索モードへと復帰する。
    3. 目標ポスト獲得時に、次目標ポストの情報を既にそれまでの探索時に得ている場合は、それを参考に探索を行う。

      詳細は行動計画提案書参照

3 MIRS本体構成

  1. 概観

    図1に本システムの概観を示す。


    図1. MIRS0103概観図

     
  2. 機能性能

  • ハードウェア
    1. システム構成ツリー


    2. エレクトロニクス回路構成/機能

      1. <CPUボード>
        MIRSの情報処理、姿勢制御、駆動制御など各種演算を行うためのCPUを積んでいてISAラックに積みこむことができ、ISAバスに差し込みが可能。
        MIRS0103のCPUボード調査報告書

      2. <フラッシュメモリ>
        MIRS0103の記憶装置としてハードディスクの役割を果たす。(64MB)

      3. <FPGAボード>


        • <タッチセンサ>
          マイクロスイッチを用い、スイッチ押下時のチャタリングを除去した信号を送る。 障害物に衝突した場合、MIRSがこれを認識するためにこれを使用する。

        • <赤外線センサ>
          赤外線センサ回路は赤外線センサの受光素子から送られてくる1〜3(最大5)までのの信号を処理し、信号に状態変化が起きたときに割り込み要求信号をCPUに送る機能を有する。

        • <超音波センサ信号>
          MIRSATLM FPGAボード超音波センサモジュールは超音波センサボードで超音波の送受信を行うためのものであり、FPGAボード内のFPGAチップに構成される。

        • <液晶表示ディスプレイ制御>
          MIRSATLM FPGAボード液晶ディスプレイ制御モジュールはLCDの制御を行うためのものであり、16文字2行表示可能。FPGAボード内のFPGAチップに構成される。

        • <ハードウェア割り込みの処理>
          必要によってCPUに対して割り込み信号を出力する。

        • <FPGA内の各入出力機能の制御>
          MIRSATLM FPGAボードアドレスデコーダはISAバスから送られるアドレスにより、FPGAチップ内に構成される他のモジュールの選択を行うためのものであり、FPGAボード内のFPGAチップに構成される。

        • <モーターパワー>
          MIRSATLM FPGAボード モータパワー制御モジュールは駆動モータのスピード、回転方向を行うためのものであり、CPUから送られてくる速度データをPWM変換し、同じくCPUから送られてくる方向データと共に出力する。FPGAボード内のFPGAチップに構成される。

        • <FPGAボード概観>

          図2.FPGAボード概観


        MIRS0103のFPGAボード調査報告

      4. <ドーターボード>

        MIRSATLM ドーターボードは、FPGAボードで行っているATLMIRS独自の入出力機能の制御を補助するためのボードである。この機能を実現するためにMIRSATLM ドーターボードは以下のような機能を持つ。

        • ドーターボードを通してFPGAボードにつながる各基板に電源(5V GND)を供給する。
        • 液晶ディスプレイボードのコントラストアジャストを行う。
        • タッチセンサ(マイクロスイッチ)から入力されるスイッチ入力のチャタリング除去を行う。
        • 超音波センサ選択信号によって選択された超音波センサをFPGAボードの超音波センサ信号処理モジュールに接続する。
        • FPGAボードから送られてくるMPC信号を用いて、MPCボードのフォトカプラを動作させる。
        • PDボードから送られてくる駆動系電源ON信号からパワーオン信号を作ってFPGAボードに出力する。
        • 以下にボード概観を示す。

          図3. ドータボード概観図


      5. <電源ボード>
        電源制御ボードは、主に2つの機能を持つ。 1.各ボードの電源として+5Vの電圧を出力する回路。 2.非常停止スイッチ用コネクタにより、モーターの電源のみをカットする事を可能にする。

      6. <モータパワー制御ボード>
        電源ボードは以下の性能を有する。 7.2Vニッカド充電電池から供給される7.2Vを電子回路系用の+5Vに変換する。 7.2Vニッカド充電電池から供給される7.2Vを緊急停止スイッチを介してモータパワー制御ボードへ供給する。 駆動系電源の状態を出力する。

      7. <テンキー>
        MIRSの電源のON/OFF、プログラムやモードの切り替えをするときに使う。

      8. <オプティカルマウス>
        MIRS内の座標記録に使用する。

        MIRS0103のオプティカルマウス調査報告

      9. <超音波センサ>
        MIRSATLM 超音波センサボードは、ボード1つにつき超音波センサが一対搭載され、FPGAの超音波センサ選択回路により選択されると超音波の送受信が行われる。この回路は、ゲートを組み合わせた送信回路と、オペアンプをつかった増幅回路を持つ受信回路、コンパレータを使った比較回路の3つの回路からなる。

        超音波センサ・赤外線センサ・白線検知センサ調査報告書
      10. <液晶ディスプレイ>
        実行中のモードやプログラムなど、MIRSの状態を表示することでMIRSの走行試験などで正しい動作をしているか確認する。

        LCD(液晶)調査報告書
      11. <タッチセンサ>
        MIRSが何かの障害物に接触したことを知覚する。

        タッチセンサ調査報告書

      12. <モータ>
        MIRSの駆動系としてギアを間に入れてタイヤを付けて使用する。MIRS0103ではそれを二つ使って4つのタイヤをPWM制御によって制御する。


    3. エレクトロニクス回路基板外形

      1. 下記については標準MIRS基板を使用するので MIRS データベースを参照すること。

      2. ドータボード
        • FPGA の20pin ジャンパコネクタに接続したとき、ISA ラックに収納可能なこと。
        • I/O 接続コネクタが ISA ラックの外に出て、ケーブルの取外しが容易であること。ただし、不必要にラックの外に飛び出さないこと。
        • ボード外形は詳細設計で示す。
    4. ソフトウェアビジビリティ

      本システムのソフトウェアビジビリティはATL-MIRSソフトウェアビジビリティ(暫定版)の仕様を基本とし、MIRS0103の各センサの個数に合わせて、変更する。

    5 ソフトウェア

    1. ATL-MIRS 標準 ライブラリ

      ATL-MIRS用に開発された標準ライブラリを使用する。
      ATL-MIRS 標準 ライブラリユーザマニュアル (現在作成中)
      参考 MIRSATLM ソフト ウェア仕様書

    2. 動作モードとその遷移

      • 動作モード

        MIRS0103では以下のモードを定義する。

        1. 待機モード
          電源が入った後,キーボード入力を受け付ける。 このモードから,ポスト数入力モード,1回目競技用初期化モード, 2回目競技用初期化モード,試験モードに移行する。
        2. 1回目競技用初期化モード
          MIRSの現在位置の座標を0,0に設定する。 全ポストを未探索に設定する。
        3. 2回目競技用初期化モード
          MIRSの現在位置の座標を0,0に設定する。 ポストの位置を一回目の競技で見つけた座標に設定する。 全ポストを発見済みにしておくことにより, 初めからポストに直進することができる。
        4. ポスト数入力モード
          ポストの数を入力する。
        5. 行動決定モード
          次に移動すべきポストを知っているなら接近モード、 知らないなら探索モードに移る。 また,全部のポストを調べたなら,終了処理モードに移行する。
        6. ポスト探索モード
          ポストの探索を行う。 前進を基本的な動きとする。
        7. ポスト取得判断モード
          超音波センサでポストを感知した際に,そのポストがチェック済みかどうかを判断する。 チェック済みならポスト探索モードに戻り,未チェックなら接近モードに移行する。
        8. 接近モード
          指定したポストに,規定の位置まで接近する。 正確性を求めるため,1度タッチセンサが接触するまで接近し, その後,一定距離戻る。
        9. ポスト周回モード
          ポストの周りを,ポストが発信する赤外線を感知するまで8角形に周回する。
        10. ポスト番号判断モード
          入ってきた赤外線信号の番号を判断し,獲得するかどうかを判断する。
        11. ポスト取得モード
          ポストに接触し,ポストのスイッチを押す。
        12. 終了処理モード
          全ポスト獲得後に,ポストの位置の記憶などの終了処理を行う。
        13. 試験モード
          各モードを単独で実行する。
      • モード遷移
        遷移前/遷移後 待機モード 1回目競技用初期化モード 2回目競技用初期化モード ポスト数入力モード 行動決定モード ポスト探索モード ポスト中心割り出しモード 接近モード ポスト周回モード ポスト番号判断モード ポスト取得モード 終了処理モード 試験モード
        待機モード - 10キー入力 10キー入力 10キー入力 × × × × × × × × 10キー入力
        1回目競技用初期化モード 初期化失敗 - × × × 初期化正常終了 × × × × × × ×
        2回目競技用初期化モード 初期化失敗 × - × 初期化正常終了 × × × × × × × ×
        ポスト数入力モード 入力終了 × × - × × × × × × × × ×
        行動決定モード × × × × - 移動すべきポストを知らない × 移動すべきポストを知っている × × × 全部のポストを調べ終わった ×
        ポスト探索モード × × × × × - タッチセンサに反応があった 超音波センサでポストを発見した × × × × ×
        ポスト中心割り出しモード × × × × × × - × ポスト周回モード × × × ×
        接近モード × × × × × × タッチセンサに反応があった - × × × × ×
        ポスト周回モード × × × × × × × × - 赤外線センサがポストの赤外線信号を感知 × × ×
        ポスト番号判断モード × × × × 取得すべきポストではない × × × × - 取得すべきポストである × ×
        ポスト取得モード × × × × ポスト取得 × × × × × - × ×
        終了処理モード 終了処理終了 × × × × × × × × × × - ×
        試験モード 試験走行終了 × × × × × × × × × × × -

      • モード遷移図

      6 システム試験

      1. システム試験概要

        • 外形試験
          大きさが競技規定内に納まっているか試験する。
        • センサ機能試験
          機能性能どおりの性能を満たしているか試験する。
        • 規定走行試験
          規定の動きをするか試験する。
        • 競技プログラム試験
          設計したプログラム通りの動きをするか試験する。
      2. システム試験詳細

        システム試験の詳細は、下記の試験仕様書に記載される。
        MIR0103システム試験仕様書

      関連文書