沼津高専 電子制御工学科
MIRS0005基本設計書
MIRS0005-DSGN-0003
改訂記録
版数 作成日 作成者 承認 改訂内容
A01 2001.2.6 全員   初版
A02 2001.2.9 全員   3 センサの数を変更
4.1 ハードウェアツリーを修正
4.2 各部の機能を修正
5.2 動作モードをより詳しくした。それに伴いモード遷移図も変更
A03 2001.2.13 大石、金武   2.3 探索モードのルートを1周+フィールド中央から1周だけに変更。
5 それに伴いモード遷移図、表を変更。
A04 2001.2.13 金武   4.5 ソフトウェアビジビリティを変更。
A05 2001.4.27 金武 佐野 大石 5.4 モード遷移図・表を変更。
A06 2001.7.6 金武 大石 センサの番号の図を追加

目次

  1. はじめに
  2. システム概要
    1. ハードウェア
    2. ソフトウェア
    3. 競技会行動計画
  3. 諸元
    1. 外観
    2. 機能性能
  4. ハードウェア構成
    1. システム構成ツリー
    2. エレクトロニクス回路構成/機能
    3. エレクトロニクス回路基板
    4. ソフトウェアビジビリティ
  5. ソフトウェア構成
    1. ATL-MIRS 標準 ライブラリ
    2. 動作モードとその遷移
    3. モジュール定義
    4. モードの構成要素
    5. 試験機能
  6. システム試験
    1. システム試験概要
    2. システム試験詳細

1 はじめに

本仕様書はMIRS2000競技規定に基づきMIRS0005チームの作成する自立型小型知能ロボットの基本仕様を記述する。

2 システム概要

  1. ハードウェア

    MIRS0005システムのハードウェアは標準MIRS(注1)に準ずる構成を有するが、MIRS0005固有の機能を実現するためにいくつかの変更点がある。以下、標準MIRSと異なる点のみ述べる。 (注1)2000年1月現在、標準 MIRS は、5年生卒研の ATL-MIRS プロジェクトで開発中である。開発ドキュメントは MIRSATLM ドキュメント管理台帳 を参照する。

  2. ソフトウェア

     RT-Linux (Ver.2.3) を OS とし、Linux のユーザプロセスとして行動制御 プログラムを起動する。

     赤外センサ、タッチセンサからの入力は、行動制御 プログラムから、定期的にドライバーを呼び出すことにより監視する。

     走行系の制御と超音波センサの制御は、RT タスクによって行い、RT-FIFO を 介して必要なデータ通信を行う。

     プログラムは、C 言語でコーディングする。

  3. 競技会行動計画
    1. 行動計画の詳細は、MIRS0005行動計画提案書に記載されている。

    2. 探索モード

      1回目の競技ではあらかじめ決められたルート(行動計画書参照)を壁から7cmはなれたところ、
      つまりポストに当たらない45cmの範囲内を左回りで走行する。

      2回目の競技では1回目の競技によって得られたポストデータから作成されたマップ上を走行する。

      まず、スタート位置より後ろに約20cm程度後退し右に90度回転し壁に沿って左回りに周回する。

      MIRS0005の進行方向に対して垂直方向の距離をMIRS0005の左右につけられた超音波センサを用いて測定するものとする。

      MIRS0005は左回りの周回方向であるため、ポストは必ずMIRS0005の進行方向に対して左側にある。つまり、左側の超音波センサでポストまでの距離を測定する。また、右側の超音波センサは壁にぶつからないように壁との距離(7cm程度)を保つために使用される。

      進行方向の距離、つまりMIRS0005が進んだ距離をロータリーエンコーダでカウントする。このように、超音波センサによる計測とロータリーエンコーダで計測することにより、ポストの座標を検出することができる。(行動計画書からの変更点)

      上記のようにMIRS0005はポストを探索しながら進行していく。
      前部に取り付けてある超音波センサの測定値が10cmになったら左へ旋回する。こうして競技場を1周する。

      スタート位置に戻ったら、前部の超音波センサの測定値が150cmの所で左に90度回転して探索モードを終わる。フィールド中央を探索しない。(行動計画書からの変更点)

    3. 獲得モード

      検索モードで算出した値(ポストの座標)を元に横、縦の順に直角に進行する。ポストの近くまで進行したら超音波センサでポストの正確な位置を確認する。確認後、MIRS0005は前部のタッチセンサを用いてポストに当たる。そして前部3ヶ所のタッチセンサの反応により以下のような行動をとる。

      右肩部→後退後右に少し回転
      左肩部→後退後左に少し回転
      真中→右に90度回転

      これを繰り返し、真中のセンサが感知したら反時計回りにポストの周りを周回する。

      左に取り付けてある赤外線センサでポストの位置からの赤外線を受信したら左に90度回転しさらに前部の赤外線センサで赤外線を受信したら前進しポストを獲得する。

      赤外線を受信しなくなった(すでに獲得した)ら4方に超音波を出し、自分の位置を確認する。(行動計画書からの変更点)

      次に近いポストの位置まで移動していく。(獲得モード繰り返し)

      競技2回目は1回目の競技で超音波センサ、ロータリーエンコーダで算出した座標マップを使用して探索モードに移らず獲得モードで行動し、1回目よりも早くポストを獲得する。

3 諸元

  1. 外観

    図1〜4に本システムの外観を示す。図5に記号の説明を示す。図中の数字の単位はmmである。

    図1. MIRS0005外観図(上)

    図2. MIRS0005外観図(下)

    図3. MIRS0005外観図(前)
    (注)MIRSと壁の距離は数cmしかないので、超音波センサはできるだけラックに近づける。

    図4. MIRS0005外観図(横)

    図5. センサの番号


    図6. センサの形の説明

     

  2. 機能性能

4 ハードウェア構成

  1. システム構成ツリー

    下記にシステムの構成を示す。


    図6.ハードウェアツリー


    図7. ソフトウェアツリー

  2. エレクトロニクス回路構成/機能


    図8.MIRS0005エレクトロニクス回路ブロック

    各部の機能
    1. CPU ボード部 (CPU)
      i486 133MHz
      Memory 16MB
      SVGA chip
      10M Ethernet
      ISA bus
      AMD社製AM486DX5-133(SQFP)を実装
      2次キャッシュ・メモリは256KB内蔵し、システムメモリとしてAT-461VREPは最大64MBのD-RAMが搭載可能。
      LCDの駆動可能。
    2. 記憶装置
      Flush memory 64MB (IDE ディスク互換)
    3. FPGA ボード部 (FPGA)
      標準ゲート数 10,000
      RAMビット数:6,144
      ユーザI/O数:134, ISA bus
    4. ドータボード部 (DB)
      FPGAボードで行っているATL-MIRS独自の入出力機能を制御するためのボード
    5. 液晶ディスプレイ部(LCD)
      MIRSの状態を表示する。
    6. 超音波センサ(USS)
      40kHzの超音波を使用して距離を測定する。MIRSの現在の 座標の測定、 ポストの発見に使用する。
    7. 赤外線センサ(IRS)
      5つのセンサを使って、ポストから発信される赤外線を受信し 、 ポストを獲得するのに使用する。
    8. タッチセンサ(TS)
      ポストに到達し、ポストに接触したとき、ポストを認識する。 壁やポールなどにぶつかったときにそれらを認識する。
    9. ロータリーエンコーダー(RE)
      モータの位置、速度を検出して制御部に情報を伝達する
      回転軸の回転速度に比例した、互いに90°位相の異なる2相の近似正弦波を出力しているもので、2相の信号をカウントして回転数を求めることができる。

  3. エレクトロニクス回路基板

    1. 下記については標準MIRS基板を使用するので MIRS データベースを参照すること。  

    2. ドータボード
      • FPGA の20pin ジャンパコネクに接続したとき、ISA ラックに収納可能なこと。
      • IO 接続がコネクタが ISA ラックの外に出て、ケーブルの取外しが容易であること。ただし、不必要にラックの外に飛び出さないこと。
      • ボード外形を以下に示す。詳細については詳細設計図で示す。


        図9.ドータボード外形図

  4. ソフトウェアビジビリティ

    本システムのソフトウェアビジビリティ(ソフトウェアから見たとき、ハードウェアにどうアクセスするのかを示したもの)はATL-MIRSソフトウェアビジビリティ(暫定版)の仕様とほぼ同一である。相違点のみ下記に示す。太字が変更点である。

    タッチセンサ、赤外線センサ、パワーオン信号処理モジュール

    Table.7_d_5 タッチセンサ、赤外線センサ、パワーオン信号処理モジュールのソフトウェアビジビリティ
    アドレス
    D15
    D14
    D13
    D12
    D11
    D10
    D9
    D8
    D7
    D6
    D5
    D4
    D3
    D2
    D1
    D0
    R/W
    機能説明
    140H
    PO
    TS6
    TS5
    TS4
    TS3
    TS2
    TS1
    TS0
    '0'
    '0'
    '0'
    IRS4
    IRS3
    IRS2
    IRS1
    IRS0
    R
    POはパワーオン信号、TS*はタッチセンサ、
    IRS*は赤外線センサの状態をそれぞれ示す。
    0142H
    *
    *
    *
    *
    *
    *
    *
    *
    *
    *
    *
    *
    *
    *
    M
    R
    W
    TIP_Mの割り込み信号(IRQ6)のマスク、アンマスク、リセットを行う。

    * PO , TS* , IRS* ・・・ '1' : ON '0' : OFF * M ・・・ '1' : 割り込み信号のマスク '0' : 割り込み信号のアンマスク
    * R ・・・ '1' : 割り込み信号のリセット

5 ソフトウェア

  1. ATL-MIRS 標準 ライブラリ

    ATL-MIRS用に開発された標準ライブラリを使用する。
    ATL-MIRS 標準 ライブラリユーザマニュアル(現在作成中)
    参考 MIRSATLM ソフトウェア仕様書

  2. 動作モードとその遷移


    図10. モード遷移図

     モード遷移表は行に遷移前のモード、列に遷移後のモードが書かれていて、表の項目は、遷移条件である。
    ×・・・遷移することはない ―・・・遷移前と遷移後の状態が同じ

    探索モードのモード遷移表
    遷移前\遷移後 走行t 補正 緊急回避 獲得モード
    走行モードt 壁との距離が7cmから±3cmずれた どれかのタッチセンサが反応 一周周りスタート地点に戻った
    補正モード 補正終了 どれかのタッチセンサが反応  
    緊急回避モード 回避終了 回避終了 ×

    獲得モードのモード遷移表
    遷移前\遷移後 経路の計算 走行k 角度修正 ポスト周回 ポストタッチ 緊急回避 自己確認
    経路の計算 計算終了 × × × × ×
    走行モードk ×
    超音波センサON
    × × どれかのタッチセンサが反応 ×
    角度修正モード × × 真中のタッチセンサON
    赤外線センサON 真ん中以外のタッチセンサが反応 ×
    ポスト周回モード × × × 赤外線センサON どれかのタッチセンサが反応 ×
    ポストタッチモード × × × × 側方・後方のタッチセンサが反応 赤外線センサーOFF
    緊急回避モード
    ×
    回避終了 回避終了 回避終了 回避終了 ×
    自己位置確認モード 確認終了 × × × × ×

  1. モジュール定義

    以下にモジュール(プログラム群)の定義と、必要なAPI関数を示す。

  2. モードの構成要素

    1. 走行モードt
      超音波センサ API、タッチセンサ API、直進走行モジュール、回転モジュール
    2. 補正モード
      カーブモジュール、タッチセンサ API
    3. 経路の計算
      経路の計算モジュール
    4. 走行モードk
      超音波センサ API、タッチセンサ API、直進走行モジュール、回転モジュール
    5. 角度修正モード
      赤外線センサ API、タッチセンサ API、直進走行モジュール、回転モジュール
    6. ポスト周回モード
      カーブモジュール、赤外線センサ API
    7. ポストタッチモード
      直進走行モジュール、回転モジュール、赤外線センサ API、タッチセンサ API
    8. 自己位置確認モード
      超音波センサ API

6 システム試験

  1. システム試験概要

     システム試験はシステムの組立が完了した段階で、基本設計書の内容に適合しているかどうかを試験する。システム試験を実施する際には、各サブシステムで規定されるサブシステム試験に合格していなければならない。 試験は以下の項目について行われる。

    1. 外形試験
      • 規定寸法内に納まっているか。 動作時に分離しないか。(しっかり固定されているか)
    2. センサ機能試験
      • 発光する赤外線の正前40cm、左右30°以内に接近したとき、 赤外線を感知できるか。
      • 超音波センサが測定距離 0.15〜1.5m を誤差±5[cm]、左右15° 以内で走行しながら測定可能か。
      • 真中のタッチセンサが押下されるときのポストとの角度はどれくらいか。
    3. 規定走行試験
      • 1mの直線を走行したとき、左右のぶれが±5[cm]以内であるか。
      • 半径30cmで1回転したときに停止位置が半径10[cm]以内の円内にあるか。
    4. 競技プログラム試験
      • ポストを置いてシミュレーションして行動計画どおりに行動するか。

  2. システム試験詳細

    システム試験の詳細は、下記の試験仕様書に記載される。
    MIRS0005システム試験仕様書

    システム試験仕様書は、2001年8月までに作成することにする。

関連文書

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