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3.2.1天気を教える富士山
山頂の雲で天気が分かる:
富士山の周辺の人々は、古くから雲のかかり方を見て「富士山が笠をかぶれば雨が近い」と言い伝えて来た。これに着目して河口湖測候所は、昭和8〜27年までの20年間の雲形を分類している。これによると、富士山頂に笠雲(図23a)や吊し雲(図23b)が現れるのは、日本海に低気圧が入ったときである。その低気圧に南から湿った空気が流れ込み、富士山に当たって山を越えるとき笠雲ができ、風下に吊し雲ができる。
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図23a
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図23b
雲図23a<笠 雲>図23b<吊るし雲>は2〜3時間継続する。笠雲の出た当日又は翌日の降雨確立は72%,吊し雲の場合は82%である。
富士山にはいろんな雲が現れる。斜面に沿って発生する雷雲,富士山を二重、三重に、太くあるいは細く帯状にかかる帯雲,気温が急に下がったときに発生し旗竿になびく旗に似た山旗雲は翌日天気になる。
富士山を利用した上空の気象観測:
天気予報には地上観測だけでなく高層気象観測が必要である。それは大気の状態、つまり地上から上空までの風や温度の分布をつかみ、将来の変化を予測するためである。高層気象観測は1日2回レーウインゾンデという気球を飛ばして行われる。
富士山を利用すると、上空30kmまでの各高度の気象要素が測定されるわけではないが、費用も人手もかかる気球に比べれば、海抜3776mの気象に限られるけれども連続的なデーターが得られる点でメリットも大きい。
富士山頂における気象観測のもう一つの意義は、上空の気象現象を直接に観察し、肌で感じることができるところにある。太平洋戦争中、山頂の一郭に風洞を造って飛行機への氷着の研究が行われていたり、山頂レーダーが設置される(昭和39年)までは山頂から眺めた雲の状態をスケッチする作業が1日2回続けられていた。山頂からだと100km以上が見渡せ、平地からの狭い視野の雲観測をカバーできる。
レーダー観測:
レーダーの電波は可視光線と同様に直進する。だから、平地のレーダーの電波は図24のように遠距離では地表面から離れて高いところを通り、雨雲の上を素通りしてしまう。雨雲の高さは、夏の積乱雲は6〜8km程度,冬になると2〜3kmのものが多い。雲頂4〜5kmのものが最も多く、平地レーダーの電波は約250kmでこの高さを通過する。
ところが、富士山頂のレーダーであると図24のように250km付近で地表面に接し、それから次第に高いところを通過するようになる。そうすると富士山頂のレーダーは500km先の高さ4〜5kmの雨雲まで探知できることになる。
富士山頂では平地では想像できないような強風が吹く。このためレーダーを保護するドームは秒速100mの強風に耐えるよう設計されている。平地レーダーのアンテナは直径3mであるが、富士山レーダーは遠くまで探知させるために直径5mに拡大され、発射電波の出力も標準的レーダーの5倍の1500kwに増強されている。富士山レーダーは剣ヶ峰に設置され、世界で最も標高の高い気象レーダーである。
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(立平良三による)
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